真壁瑞希
皆さん こんにちは。真壁瑞希です。
真壁瑞希
私は今、町のはずれで 小さなお店を開いています。……いえーい。
真壁瑞希
お店の名前は、『リユース』。
真壁瑞希
しかしこのお店は、特に商売をしているわけではありません。
真壁瑞希
お客さんは、『リユース』の建物を除いて必要なものや、気に入ったものがあったら、
真壁瑞希
自由に持って帰ることができます。
真壁瑞希
………あっ、もちろん私も お持ち帰り禁止ですので。
真壁瑞希
そのかわり、自分が使わなくなったものや、誰かに使ってもらいたいものを置いていくのが、
真壁瑞希
このお店のルールとなっています。
真壁瑞希
……この冷たい風が吹く冬の空の下、誰かやってきたようです。
高木社長
お邪魔するよ。
真壁瑞希
こんにちは、高木のおじ様。今日はどのような ご用件ですか?
高木社長
今日は、この花の種を置こうと思ってね。
真壁瑞希
花の種ですか。おば様の趣味であるガーデニングの。……そういえばおば様は?
高木社長
あぁ……、先日亡くなったよ。とても安らかな顔でね……。
真壁瑞希
………そうでしたか。そうとも知らず聞いてしまった。……瑞希、いけない子。
高木社長
君が気にすることではないよ。
高木社長
おばあさんと一緒に花を育ててきたが、亡くなってしまった今、
高木社長
とても育てる気にならなくなってね。ここに置くことに決めたんだ。
高木社長
あそこの棚に置かせてもらうよ。
真壁瑞希
ひぃ、ふぅ、みぃ、…たくさんあります。……全部咲いたらお部屋がお花畑。
真壁瑞希
(種を1つ1つ、小さな紙袋に包んで並べています。……本当に大切にしてたんですね)
高木社長
これで全部だよ。かなりスペースをとってしまって、すまないね。
真壁瑞希
いえ、問題ありません。それでは、このメッセージカードに一言どうぞ。
高木社長
うむ。
高木社長
【おばあさんは、花を育てることが大好きでした。おばあさんが用意していた春の花です】
高木社長
これでいいかな?
真壁瑞希
はい、ありがとうございました。
真壁瑞希
それでは私は、愛犬パピィの散歩の時間となりましたので、出かけてきます。
真壁瑞希
お店は開放しておきますので、おじ様はゆっくりしていってください。……ゴー、パピィ。
高木社長
あぁ、そうさせてもらうよ。
高木社長
……………
高木社長
(このお店を見てると、一緒にここに来ていた楽しい日々を思い出してしまうな)
高木社長
(おばあさん、私は寂しいよ……)
高木社長
ふぅ………、
高木社長
(おや、写真立てか………。メッセージカードには、)
真壁瑞希
【思い出は、いつまでも】
高木社長
(思い出、か………)
高木社長
では花の種のかわりに、これを持って帰ろうかな。
真壁瑞希
『シーン2につづく』
(台詞数: 40)