可憐なバラの花言葉は
BGM
ちいさな恋の足音
脚本家
不明
投稿日時
2017-06-21 01:05:51

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篠宮可憐
目立つことが苦手な私は、アイドルには向いていないのかもしれない……。
篠宮可憐
この事務所にお世話になってから、夜ごとそんなことを考えていた。
篠宮可憐
…いつからだろう?こんな私が、不安に…まくらを濡らすことがなくなったのは。
篠宮可憐
ううん。本当は分かっている。プロデューサーさんが、そばにいてくれるようになった日からだ。
篠宮可憐
『胸を張って顔を上げるんだ。それだけで、みんなが可憐に心奪われる』
篠宮可憐
恥ずかしげもなく、そう言ったあの人は、だけどまっすぐ私の目を見て言ってくれたっけ。
篠宮可憐
優しそうなプロデューサーさんでよかった。…そう思ったのは最初の頃だけ。
篠宮可憐
レッスンはすごく厳しくて、辛くって…。逃げ出したくなることもあった。…だけど。
篠宮可憐
『頑張ったな、可憐!ちゃんと見ていたぞ、可憐が一番輝いていたよ!』
篠宮可憐
臆病な私に真剣に向き合ってくれて、いつでも私の欲しい言葉をくれた。ただそばにいてくれる…
篠宮可憐
…それだけで、すごく安心する。いつの間にかそんな人になっていた。
篠宮可憐
成長していく自分がだんだん好きになって、アイドルとして認められることが嬉しくて。
篠宮可憐
…プロデューサーさんの喜ぶ顔が見たくて。笑顔を独り占めしたくって。
篠宮可憐
いつしか…抱いてはいけない想いにも気づき始めた。
篠宮可憐
「いっそ私を、捕まえて下さい…」口をついたその言葉は、多分冗談だと思われたかな…。
篠宮可憐
アイドルとプロデューサー…。超えてはいけない壁がある。分かっているつもり…。
篠宮可憐
だけどこの想いは、いつかちゃんとあの人に伝えよう。…ちゃんと伝えたい。報われなくても。
篠宮可憐
その時が来るまでは、アイドルとして精一杯努力しよう。
篠宮可憐
……プロデューサーさんと、一緒に…。
篠宮可憐
「…ん?」
篠宮可憐
目を覚ますと、シアターの一室にいた。いつの間にか眠ってしまっていたみたいだ。
篠宮可憐
今日は朝から移動して、ステージに立ってきた。時計の短針は、もう8時を指している。
篠宮可憐
身体を起こすと、肩から大きな背広が滑り落ちた。プロデューサーさんのだ。
篠宮可憐
(私の好きな匂い…。そっか、だから夢見が良かったのかな)
篠宮可憐
背広を羽織り直して、自分の肩を抱きしめると、ふとテーブルの上のメモに気がついた。
篠宮可憐
『可憐、起きたらメールをくれ。ご両親には、遅くなることを連絡してある』
篠宮可憐
(プロデューサーさんの書き置きだ。起こさないように、気を遣ってくれたのかな…?)
篠宮可憐
小さな気遣いに、ほほが緩むのを感じながら、自分の携帯を取り出す。
篠宮可憐
私の携帯の待ち受けは、亜美ちゃんがふざけて隠し撮りした、プロデューサーさんとの2ショット。
篠宮可憐
思い切って待ち受けにしたけれど、私の一番のお気に入り…。
篠宮可憐
「ふふっ。…プロデューサーさん、背広をありがとうございます……。……よし」
篠宮可憐
不意に背広の右ポケットが震えだして、思わず声を上げてしまう。
篠宮可憐
「きゃっ。……な、なんだ。プロデューサーさんってば、携帯をここに入れて」
篠宮可憐
どうやって連絡しよう…。そう考えながらポケットから携帯を取り出し、画面を見る。
篠宮可憐
営業先からだろうか。不在着信が何件かあったが、私はそれよりも待ち受けに目を奪われた。
篠宮可憐
「あ……」
篠宮可憐
プロデューサーさんの待ち受け画面は、私と同じ2ショット写真だった。
篠宮可憐
「……………」
篠宮可憐
驚きもすぐに治まり、温かい気持ちが胸いっぱいに込み上げてくる。
篠宮可憐
「プロデューサーさん…。ありが…とう…。ぐすっ」
篠宮可憐
温かい涙が、次々と溢れてきた。
篠宮可憐
(私の気持ちは届いているかな?…届いていると良いな。…いつかこの気持ちを言葉にしよう)
篠宮可憐
真心とありがとうを、私の大切な人に。

(台詞数: 43)