黒井社長
(王者は過ちを犯すことは無い。たとえひとたび遠い道を歩いたとしても、必ずや覇道を進む。)
黒井社長
(そして王者は、全ての力と美とを手に入れる。それらは王者の元でこそ、価値を生むからだ。)
黒井社長
(すなわち、私は誤らぬし、認めたものは全て手に入れる……必ずだ。)
黒井社長
……
篠宮可憐
あ、あの、莉緒さん。今日はお買い物に付き合ってもらって、ありがとうございます。
篠宮可憐
日本初上陸のアロマオイルショップに興味はあったのですけど……知らない街に行くのは怖くて。
百瀬莉緒
そんなに萎縮しなくていいって!可愛い可憐ちゃんのためなら、これくらい何でもないわ。
百瀬莉緒
おかげで私も、試したことないオイルをゲットできたし。セクシーさに磨きをかけるわよ。
篠宮可憐
……あの、莉緒さん?さっきから変な匂いがしませんか?嫌なことを思い出してしまうような……
百瀬莉緒
私は可憐ちゃんレベルに鋭くはないからね〜。でもこの街なら、嫌な奴の一人や二人居るかもね。
黒井社長
フハハハッ!三流芸能事務所のタレントが、暇を持て余して買い物に来てるのかね。
百瀬莉緒
……可憐ちゃんが気づいたのは、貴方のことみたいね。黒井さん、だっけ?
黒井社長
それが格上の芸能事務所の人間に対する態度かね。せめて社長と付けることだ。
篠宮可憐
ど、どうしましょう莉緒さん……。今日は、プロデューサーさんが一緒じゃないのに……
百瀬莉緒
また可憐ちゃんを傷つけるつもりでいるわけ?私の目が黒いうちは、そんなことさせないわよ。
黒井社長
そう鼻息を荒げないことだな。なけなしの美貌さえ、見られたものではなくなるぞ。
黒井社長
それに、いま篠宮可憐を傷つけるつもりはない。……単刀直入に言おう!
黒井社長
篠宮可憐君、我が961プロに移籍したまえ!最高級の待遇を用意しようではないか。
篠宮可憐
……へっ?で、でもそのお話は……あの日お断りしていますが……
黒井社長
プラチナスターライブと言ったか、あのドンチャン騒ぎの最中のときだったな。
黒井社長
人間、興奮していたり追い込まれていたりすると、理性的な判断ができないものだ。考え直せ。
黒井社長
君は弱小事務所で、能力不足や問題児達とユニットを組み、公演を成功させた。それは認めよう。
黒井社長
だが、より良いメンバー、より強いバックアップが有れば、段違いの成功を収められたのだぞ?
黒井社長
あの程度で妥協するのか?私の元なら高みを目指せる……もとい、高みに居られるのに。
百瀬莉緒
……耳を貸しちゃダメよ。可憐ちゃんの心の隙間を突こうとしているだけだから。
黒井社長
『高み』をイメージできる筈だ……かつて961プロに履歴書を送ってきた、可憐君なら!
百瀬莉緒
って、その話本当なの、可憐ちゃん?
篠宮可憐
……はい。最大手の事務所なら、こんな私でも拾ってくれるかもと思って。最初に応募しました……
黒井社長
そんな卑屈な思いなどもう要らない!大規模ライブでも、ドラマの主役でもすぐ用意するぞ。
黒井社長
力有るアイドルは、全て961プロに集うべき!それでこそ最強のパフォーマンスが生まれるのだ!
百瀬莉緒
……ふーん。貴方は、可憐ちゃんが『力が有るから』、求めてるのね、黒井社長?
黒井社長
当然だ!もっとも、一度目は私の気の迷いで書類審査で門前払いし……
黒井社長
時間不足と周りの雑音で、前回は説得しきれなかった。私の慢心ゆえ、失礼が有ったのは認める。
黒井社長
だからこそ、今回は諦めん。可憐君を961プロの一員とする。
黒井社長
英王室が『黒太子のルビー』を王冠に飾るように、弱み以上の輝きを持つ君をトップに据えるのだ!
百瀬莉緒
……やっと本心が出たわね、黒井社長。
百瀬莉緒
貴方がやりたいのは、力の有無や美醜だけを基準にしたコレクションよ!
百瀬莉緒
綺麗な石と分かってから、余所から手に入れて飾って満足する。
百瀬莉緒
自分で原石を掘らず、磨くこともせずにね……それでもプロデュース業をしてるつもり?
百瀬莉緒
奪って、集めて、並べて、悦に浸っているだけなら……貴方こそ宝の持ち腐れよ。
黒井社長
……黙って聞いてやれば、生意気を言ってくれるな、小娘!
篠宮可憐
ま、待ってください莉緒さん!もう、大丈夫です……
篠宮可憐
……私の思いは、私の言葉で黒井社長さんに伝えます。
(台詞数: 43)