篠宮可憐
はぁ……。
篠宮可憐
(渋谷ってやっぱり凄いんだ、人が一杯で…歩いてるだけで疲れちゃうな)
篠宮可憐
(オーディションの場所に辿り着く為の練習に来てみて良かったかも)
篠宮可憐
(いきなりこの雑踏は私にはレベルが高すぎだよね。うんうん)
篠宮可憐
(それにしても……)
篠宮可憐
(すれ違う男の人が私のことチラチラ見てくのが気になる……私の格好、どっか変なのかなぁ)
篠宮可憐
……うっ。
篠宮可憐
(視線も気になるけど、それ以上に気になるのが、におい……)
篠宮可憐
(排気ガス、香水、ラーメン屋さんの換気扇、化粧品、街路樹、排水……)
篠宮可憐
(歩いてると次々に色んなにおいが漂って来て、目が回っちゃいそう)
篠宮可憐
酔っちゃうかも……。
篠宮可憐
(これはちょっと、つらい。どこかで休みたいけど…)
篠宮可憐
ここ…どこだろう。
篠宮可憐
(においばっかり気にしてて、大きな通りから離れちゃったみたい)
篠宮可憐
(うう、とにかくにおいだけでも何とかしないと。本格的に気持ち悪くなりそう)
篠宮可憐
…………あ。
篠宮可憐
(ちっちゃなお花屋さんがある……ちょっとだけ、居させてもらってもいいかな)
篠宮可憐
し、失礼しま〜す……。
篠宮可憐
(あ、お花っていうより草っぽい香りが先にきたけど…)
篠宮可憐
……落ち着く…。
篠宮可憐
(店員さんも居ないみたいだし、お花を見るふりをして鼻を休ませてもらおう)
篠宮可憐
(……そう、花だけに。)
篠宮可憐
…………ふふっ♪
篠宮可憐
…………え?
篠宮可憐
ひゃ、ひゃい!いらっしゃいました!すみません!私なんかがいらっしゃってしまって!
篠宮可憐
あ!怪しい者ではないんです!誰も居ないと思ってた所に急に声をかけられたからびっくりして!
篠宮可憐
ああ!店員さんは悪くないんです!勝手に驚いた私が悪いんであって店員さんはちっとも…。
篠宮可憐
え、深呼吸ですか?得意分野ですけど。い、今ですか?
篠宮可憐
す、すぅ〜……はぁ〜……すぅ〜……はぁ〜……
篠宮可憐
(………………あ)
篠宮可憐
ラベンダーの香り……落ち着きます……。
篠宮可憐
ポプリ……わ、私の為に用意してくれたんですか?
篠宮可憐
す、すみません!わざわざ袋から出していただいちゃったんですよね!それ、買います!
篠宮可憐
あ、いえ!そういうんじゃなくてですね。あの……そのポプリが今の私に必要な物なんです。
篠宮可憐
ちょうど落ち着ける香りが欲しくてお邪魔させていただいたので。はい。
篠宮可憐
……じゃあ千円で……あ、そのままで大丈夫です。
篠宮可憐
(はぁ……慌ててて良く見てなかったけど、綺麗な店員さん…私と同い年くらいかな…)
篠宮可憐
(もし私がアイドルのプロデューサーだったら絶対にほっとかないのにな……♪)
篠宮可憐
……え?
篠宮可憐
ひゃ、ひゃい!いえ、すみません!こちらこそありがとうございました!それではー!
篠宮可憐
(ドンっ)きゃっ!!
篠宮可憐
す、すみません、ぶつかっちゃって!すぐどきますね!
篠宮可憐
失礼しましたー!
篠宮可憐
(……まさか出入り口で男の人とぶつかっちゃうなんて……!)
篠宮可憐
(それにしても、凄い目つきの鋭い人だったな……)
篠宮可憐
(アイドルになれたとして、もしあんな人が担当プロデューサーだったらどうしよう……!)
篠宮可憐
(やっぱりアイドルのオーディション受けるか、もう一回考え直した方がいいのかなぁ……)
篠宮可憐
(…………でも)
篠宮可憐
(素敵なお花屋さんに出会えたし。今日は頑張って来て良かったかも)
篠宮可憐
……新しいお気に入りの香りも、見つけられたし…………ね♪
(台詞数: 50)