地元の友達。
BGM
WHY?
脚本家
sikimi
投稿日時
2017-07-12 00:47:41

脚本家コメント
リクエストを頂いた、ちょっと切ないがテーマのドラマです。
当初はこのみさんがカップ焼きそばを作る、切ないドラマにしようと考えてました。オチは見え見えなのでなかったことに。

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百瀬莉緒
「えっ!?あの二人結婚したの!?」
百瀬莉緒
カフェの店内に私の驚いた声が響く。私の対面に座ってる相手は、楽しそうに笑顔を浮かべてる。
百瀬莉緒
『そうなんよ。意外でしょ?』目の前の彼女は悪戯っぽい笑みのまま。
百瀬莉緒
「意外といえば意外だけど…よくよく思い返せば学生の頃からそんな雰囲気してなかった?」
百瀬莉緒
『そう言えばそうよね…。あれ、案外意外じゃなかった?』
百瀬莉緒
目の前の彼女…地元の友人はフォークを片手にちょっとびっくりした様子。
百瀬莉緒
今日、私は久しぶりに地元の友人と会っていた。切欠は一通のメールだった。
百瀬莉緒
『今度、仕事で東京に行くんじゃけど、時間が取れたら会えん?』
百瀬莉緒
彼女と会うのは地元を離れて以来。その日はちょうど時間が作れそうだったので二つ返事でOK。
百瀬莉緒
そして今、私のお気に入りのカフェでこうやってお話をしている。
百瀬莉緒
「ちなみに、貴女は何かそういう話無いの?」
百瀬莉緒
私が聞くと、彼女はスマホをの画面をこちらに向ける。そこには彼女と…。
百瀬莉緒
私が聞くと、彼女はスマホをの画面をこちらに向ける。そこには彼女と…彼女の彼氏の写真。
百瀬莉緒
「んなっ!!わ、私が全然モテなくて苦しんでるって言うのにアンタは…!!」
百瀬莉緒
『莉緒は…聞かなくてもええよね。いつも通り、普段通りじゃろ』と勝ち誇った顔の友人。
百瀬莉緒
「い、いいのよ!!アイドルが恋愛だなんてスキャンダルになっちゃうじゃない!!」
百瀬莉緒
私が負け惜しみを絞り出すと、友人は言葉の別の所に興味を持ったみたいで。
百瀬莉緒
『莉緒、貴女本当にアイドルになったんじゃね。テレビ見てたら貴女が映ったけぇ驚いたわ』
百瀬莉緒
「でしょ?私だって驚いたわよ。居酒屋で飲んでたらアイドルになれたのよ」
百瀬莉緒
『何それ!ちょっと詳しく教えて!!』
百瀬莉緒
…なんかすごい食いつかれた。まあ、当然よね。
百瀬莉緒
「えっと…前の仕事を辞めて、ヤケ酒飲んでたら社長と意気投合しちゃって、そのままスカウト」
百瀬莉緒
『ええ…?』
百瀬莉緒
友人はびっくりしたような、それでいてあきれたような顔。今度は私が勝ち誇った顔。
百瀬莉緒
『莉緒…アンタはほんっと、昔から変わらんねぇ…。私びっくりしたわ』
百瀬莉緒
「し、失礼ね!私だって学生の頃とくらべると随分アダルティになったわよ!!」
百瀬莉緒
『でもモテてないんでしょ?』
百瀬莉緒
ぐぬぬ…。
百瀬莉緒
「…はぁ。私が地元に帰ってない間に皆随分変わったみたいね。なんか取り残された気分」
百瀬莉緒
私がちょっと愚痴り気味に呟くと、友人が返事。
百瀬莉緒
『まあ、何年もたってるから変わって当然よ。莉緒みたいに変わらんのが珍しいって』
百瀬莉緒
『ああ、でも…莉緒でも変わったところはあるわね』
百瀬莉緒
「私どこが変わったの?やっぱり、大人の魅力がにじみ出てるとか?」
百瀬莉緒
私が訊くも、返答は予想外の物だった。
百瀬莉緒
『莉緒、私と喋ってる間全然地元の言葉使わんじゃん。東京の言葉がうまくなったというか…』
百瀬莉緒
「まあ、こっちに来てから何年も経ってるわけだし…」
百瀬莉緒
『そうなんじゃけど…アイドルになったのも相まって、莉緒が遠くに行った感じがしたんよ』
百瀬莉緒
ちょっとだけ、胸がチクリと痛む。私は別に地元をすてたとかじゃないんだけど…。
百瀬莉緒
「まあ、時間があったら帰るようにはするから。凱旋ライブよ、凱旋ライブ!!」
百瀬莉緒
胸の痛みを忘れるように、軽い調子で返す。
百瀬莉緒
…今の言葉、昔の話し言葉だったらどうなってたっけ?イントネーションは?
百瀬莉緒
『うん。楽しみにしとるけぇね?』
百瀬莉緒
チーズケーキを口に運びながら、友達が答える。私もガトーショコラを切り分ける。
百瀬莉緒
…私がお気に入りのカフェのはずだったのに、ガトーショコラがちょっとだけ美味しくなかった。

(台詞数: 44)