オトメノココロ、オレノユメ
BGM
恋花
脚本家
ちゃん@春の日
投稿日時
2017-04-28 02:47:28

脚本家コメント
普段の昴とは趣向が違いますが御容赦ください。

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永吉昴
嗚呼、今日もいい天気ですわね。そんな独り言を溢して、今日もスイッチを入れる。
永吉昴
朝起きて、眠気眼を擦りながら鏡を見ると、自身の顔立ちに、オレは嫌気がさしてくる。
永吉昴
そんな劣等感を常に抱きながら、引き摺りながらも…。
永吉昴
オンオフをはっきり入れること、切り替えていくことで、オレはワタシでいることができる。
永吉昴
ワタシの心を、ズタズタになりそうな自尊心を、なんとかギリギリのところで支えることができる。
永吉昴
今朝、久しぶりにカレンダーを覗き込んで日付を確認した。
永吉昴
マメな女性ならきっと当たり前のように、日課としてやっている行為だと、ふと思ったからだ。
永吉昴
すると、ワタシが故郷を離れ、ここに来てから随分と日付が経っていることに気付けた。
永吉昴
ずっとオレの側にいてくれた、オレを受け入れてくれ、支えてくれた身近な家族の存在。
永吉昴
今はもう、随分と遠い存在の様に思える。
永吉昴
最近、電話を掛けた記憶も特にない。
永吉昴
ワタシから電話を掛けるとついオレという言葉が自然に出てきてしまうからだ…。
永吉昴
そんな言葉が出てきた日には周りから白い目で見られちゃうからな。
永吉昴
そんなワタシの気持ち、羞恥心を察してくれているのか、故郷の家族からも電話はこなかった。
永吉昴
ワタシが乙女になりにきたことを尊重してくれているのかな。
永吉昴
そんな気を使わなくてもいいのに、とは思いつつも、そんな家族の優しさに頭があがらないだろう。
永吉昴
嗚呼、カレンダーの日付を確認してから、急に家族が恋しく思えてきた。
永吉昴
最後に見たのは、確か…ワタシが故郷を旅立った日のことだ。
永吉昴
列車の車窓から、乙女を目指す旅路についたワタシの事を快く送り出してくれた。
永吉昴
ワタシがここに来たいと家族に言い出した時は、笑い飛ばしてからかってきた兄弟達も…。
永吉昴
最後には行ってこいと背中を押してくれたんだよな…。
永吉昴
ワタシの手料理が恋しくなるぞーて言いながら泣きついてきたのは流石に笑ったけど…。
永吉昴
ワタシの大切な人達だ。
永吉昴
走り出す列車に追い付けるはずもないのに、転けながらでも追いかけてきたり…
永吉昴
そんな姿と故郷の景色を目に焼き付けながら…。
永吉昴
精一杯手を振った。
永吉昴
いってきます、ってな。
永吉昴
たぶん、いまのワタシをみたら驚くだろうな。
永吉昴
一緒になって田畑を走り回り、泥塗れになったオレじゃなくなっているから…。
永吉昴
そんなワタシに、なんて声を掛けてくれるだろうか。
永吉昴
素敵だって、言ってくれるだろうか。
永吉昴
醜いと、言われるだろうか。
永吉昴
可愛い女の子になったと誉めてくれるだろうか。
永吉昴
ちゃんと女の子扱いしてくれるのかな…。
永吉昴
今はまだ、全然未熟かもしれない、ダメかもしれない。
永吉昴
でも少しずつ、着実に、ワタシは変わりつつある。
永吉昴
オレからワタシへ、今はまだ、スイッチが必要だけど…。
永吉昴
いずれちゃんとなくなれば…。
永吉昴
オトメノココロが身に付いたってことになる。
永吉昴
身に宿ったって意味な気がする。
永吉昴
ワタシがモノになった、なによりの証拠だと思う。
永吉昴
乙女になること。
永吉昴
それがオレの夢だから。
永吉昴
オレ、今はまだ夢半ばだけど、ワタシになるために、ワタシに慣れるんだ。
永吉昴
それがここに来た理由。
永吉昴
礼拝堂に向かって伸びる廊下に射し込む陽の光…。
永吉昴
とても白くて眩しいそれは、なんだかワタシを祝福してくれているみたいだ。
永吉昴
ならばワタシはここで、祈りを捧げることにします。
永吉昴
まるでワタシの心臓を差し出すように、ココロを捧げましょう。
永吉昴
いまはまだ、ただのココロでしかないけれど…。

(台詞数: 50)