永吉昴
プロデューサー! 助けてくれ!
黒井社長
P「おう昴か、おはよう。どうしたんだ、血相を変えて……? それにその格好……。」
永吉昴
そんなこと気にしてる場合じゃないんだ! とにかくオレの意識が出ているうちに聞いてくれ!
黒井社長
P「意識……? 何か引っかかる言い回しだが、とりあえず聞こう。」
永吉昴
実はオレ……
永吉昴
実はオレ……幽霊に憑依されたみたいなんだ……。
黒井社長
P「………え? 今なんて? ユーレイ……?」
永吉昴
そうだよ! 昨日、あの遊園地で仕事やったろ?
永吉昴
その後、意識に妙な違和感を感じたんだ。最初は疲れてるのかな、って思ったんだけど……。
永吉昴
朝起きたら、自分じゃない誰かがオレの身体を動かしてるのをはっきり実感しちゃったんだよ!
黒井社長
P「昴自身ではない誰かが……。その憑依したという幽霊は一体どんなやつなんだ?」
永吉昴
それは………
永吉昴
それは………うぐっ! マズい……また意識を乗っ取られる……! ここまでか……!
黒井社長
P「おい、昴! 大丈夫か!?」
永吉昴
………………………。
永吉昴
『ごめんね。なんでもないよ。じゃあ、話の続きをしよっか。』
黒井社長
P「……!? お前……昴じゃないな……!? 一体何者なんだ!」
永吉昴
『そこも含めて今からはなすから、まずは落ち着いて、ね?』
永吉昴
『わたしね、この通りもうこの世にいない存在なんだ。』
黒井社長
P「……本当に幽霊なのか。となると、死因や没年は覚えてるのか?」
永吉昴
『うん……。8さいのころ、わたしは道路にでた子猫をたすけようとしたんだ。』
永吉昴
『でもね、うんわるく車にぶつかっちゃって、気がついたらわたしの魂が身体から離れてたんだ。』
黒井社長
P「なるほど……。それで、何で依り代の身体が昴なんだ?」
永吉昴
『この子の身体がいちばん居心地がよかったからだよ! 多分わたしと似てる子なんだね。』
黒井社長
P「なるほどね……。身体にも相性ってのがあるんだな。」
永吉昴
『それとね、この子を依り代にきめた理由はもう一つあるんだ。』
黒井社長
P「目的……?」
永吉昴
『わたしね、アイドルになるのが夢だったの。だからアイドルの身体ならなれるかなって!』
黒井社長
P「なるほどね……アイドルを夢見ていたと。」
永吉昴
『だからお兄ちゃん! わたしをアイドルにしてくれる?』
黒井社長
P「……この事務所には個性豊かなアイドル達がいる。すぐ迷子になる人や悪戯好きの双子……。」
黒井社長
P「少年にしか見えない子に24歳児、髪飾りを取ると誰だか分からなくなるなんて子もいる。」
黒井社長
P「しかし、本物の幽霊をアイドルとしてプロデュースするなんて、誰が予想出来るものか……!」
永吉昴
『それで、どうするの? わたしをアイドルにしてくれるの?』
黒井社長
P「………一つ条件がある。トップアイドルになったら、昴を解放してやってくれ。」
黒井社長
P「それが約束出来るなら、君をアイドルとしてプロデュースしてあげよう。」
永吉昴
『わかった! ありがとう、お兄ちゃん! わたし、がんばるね!』
永吉昴
『わかった! ありがとう、お兄ちゃん! わたし、がんばるね!……あ! 出てきちゃだめ!』
永吉昴
ちょっと待て、プロデューサー!何考えてるんだ!? というか正気かアンタ!?
黒井社長
P「お、戻ったのか。……昴。これはお前のためでもあるんだ。すまないが辛抱してくれ。」
永吉昴
そ、そんな……。うぐっ!
永吉昴
『ふー…。この子、感情が高ぶるとたまに出てきちゃうんだよね。……ちょっと静かにね。』
黒井社長
P「はぁ……。そういえば、まだ名前を聞いてなかったな。生前の名前は覚えてるか?」
永吉昴
『ううん、おぼえてない。事故のときのショックで忘れちゃったのかも。』
黒井社長
P「じゃあ俺が命名してあげよう。……“幽持 霊香(くらもち れいか)”なんてどうだ?」
永吉昴
『うん! それでいいよ! かわいいなまえだね!』
黒井社長
P「じゃあ霊香。これから長い道のりになると思うが、よろしくな。」
永吉昴
『うん! こちらこそよろしくね、お兄ちゃん!』
黒井社長
P「……さて、みんなにはどう説明したらいいのか……。」
黒井社長
P「割と安請け合いしちゃったけど、先が思いやられる……。まあでも、何とかなるよね……?」
(台詞数: 50)