シニガ未来ちゃん2 (シーン7)
BGM
Rebellion
脚本家
Kozzy
投稿日時
2015-04-07 22:54:55

脚本家コメント
 「シニガ未来ちゃん2」、シーン7です。
もし途中から見る方は、最初から見てもらえると嬉しいです♪
 自分の芸で、みんなに笑顔と幸せにするという理想を描いて芸を続けるスバル。
………こうして、長い年月が流れていきました。

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永吉昴
こうして年月が流れていき、
永吉昴
オレは歳は50を越えていた。
永吉昴
「さっ、オレのジャグリングも いよいよ大詰め!」
永吉昴
「まずは赤い玉。お次はオレンジ、」
永吉昴
(………今日も見てくれる人、少ないな)
永吉昴
自分の芸は衰えていない。……だけど、
永吉昴
客「あのじいさん、またやってるよ」
永吉昴
客「昔は名のある道化師だって聞いたことあるけどさぁ」
永吉昴
客「年寄りの道化師が、色んなものを空中で回してるだけさ。もう見飽きたよ」
永吉昴
老いぼれた男の芸を見ようと、足を止める人は いなくなっていた。
永吉昴
「それから黄色…、緑、そして青、おまけに紫!」
永吉昴
笑顔を絶やさず、芸に集中していても、人々の小声が聞こえてくる……。
永吉昴
(周りの声は気にするな。もっと、もっと高く玉を上げれば!)
永吉昴
「そして仕上げは、"虹の空に輝く太陽"でござーい!」
永吉昴
「いよっと!」
永吉昴
「いよっと!………あっ!」
永吉昴
今までより ずっと高く投げた金色の玉は、取りきれずこぼしてしまった。
永吉昴
"虹の空に輝く太陽"は乱れて落ち、オレはただ立ち尽くしていた。
永吉昴
客「おいおい、じいさんの得意技をミスするなんてな~」
永吉昴
客「もう辞めた方がいいんじゃないのか~?」
永吉昴
観客達「アハハハハハハハ!」
永吉昴
久々に聞く笑い声。でもそれは楽しかった、面白かったからではない声…。
永吉昴
「ッ!!」
永吉昴
やがて人々は、オレに向かって野菜や泥を投げつけてきた。
永吉昴
たまらず、オレは逃げるしかなかった……。
永吉昴
…………
永吉昴
「…………」
永吉昴
「…………惨めだな、オレ」
永吉昴
「みんなを笑顔にさせる理想を描いて1人で活動してたけど、その結果がこれか……」
永吉昴
もちろん現状を変えようと、まったく新しい芸を実につける練習を繰り返した。
永吉昴
だけど高齢のせいか、身体がいうことをきいてくれない……。
永吉昴
何もかもが、取り返しがつかなくなっていた。
永吉昴
「これはもう、潮時かな……」
永吉昴
オレは今まで共にしていた道具を全て袋にしまい、芸を諦めることにした。
永吉昴
わずかなお金も たちまち底を尽き、身なりもボロボロになっていき、
永吉昴
また子供の頃のようにパンを恵んでもらい、よその家の軒先で眠る日々に戻っていった。
永吉昴
「………ほんと、どこで道を間違えちゃったんだろうな」
永吉昴
「公爵様に仕えて、不自由ない芸人人生を歩んでた方がよかったのかな?」
永吉昴
「あのまま座長さんとみんなと一緒に、旅芸人を続けてた方がよかったのかな?」
永吉昴
「……若い頃はよかったな。みんなオレの芸を見て笑顔になってくれた」
永吉昴
「座長さん達といた頃は、毎日笑顔と会話が絶えなくて、楽しかったな~」
永吉昴
「子供の頃、何もなくてもチヅル姉さんの野菜スープが美味しくて、暖かかった!」
永吉昴
「…………」
永吉昴
「チヅル姉さん、今どうしてるんだろう?」
永吉昴
「故郷に、帰ろうかな……」
永吉昴
『シーン8に続く』

(台詞数: 46)