我那覇響
貴音、遅くなってごめん!
四条貴音
いいえ。忙しい中誘いましたのは、私ですもの。ようこそいらっしゃいました、響。
四条貴音
それより、ご家族の方々はよろしかったのですか?
我那覇響
大丈夫!ご飯も用意してきたし、後はハム蔵といぬ美が面倒見てくれるって。
四条貴音
ふふっ…。それは、ありがたいこと。私からもお礼を言わなければなりませんね。
四条貴音
さあ、奥へどうぞ。美希も、待っています。
我那覇響
うん。お邪魔しまーす!
星井美希
…あふぅ。あ、響。やっと来たの。
我那覇響
美希もごめんね。すごく待たせちゃったでしょ?
星井美希
んーん。別に、いいの。今日のお泊り会は…響のためだから、どうってことないの。
我那覇響
自分のため…?どういうこと?
四条貴音
実は、百貨店で沖縄の物産展が開かれていると聞きまして、美希と二人で行ってきたのです。
四条貴音
響も誘おうとはしたのですが、丁度お仕事でしたので。お土産として色々と買って参りました。
四条貴音
これも、その一つ。さあ、お茶をどうぞ。
我那覇響
あっ…!この香り…サンニン茶!
星井美希
ふ～ん。沖縄だと、そんな名前なんだね?
星井美希
パックに月の桃のお茶～って書いてあったから、貴音がこれにしようってゴリ押ししてきたの。
我那覇響
あははっ!そういうところ、貴音らしいぞ～!
四条貴音
まあ…!それでは、私が月と付けば飛びつくような、軽薄な女のようではありませんか!
星井美希
ミキ、ウソは言ってないの。あ、それと、ミキにも一杯ちょうだい。
四条貴音
…どうぞ。美容と健康に良いお茶と聞いたから、これを選んだのです。
星井美希
いただきますなの…。ん～、思ったより、後味スッキリだね。
我那覇響
香りに少しクセがあるよね。自分は飲み慣れてるから、それがいいって思うけど。
四条貴音
ふふっ。美希はともかく、響には喜んでいただけたようで、何よりです。
四条貴音
それでは、次はこのようなものは、いかがでしょう?
我那覇響
あれ…?貴音が持ってるのって、胡弓(クーチョー)?
四条貴音
はい。沖縄の伝統的な楽器と聞きました。和楽器の胡弓と弾き方が似ていましたので。
四条貴音
一通り手解きを受けただけの未熟者ですが、余興なれば…。
星井美希
せっかくだから、ミキも歌うね。テキトーに作った歌だけど。
星井美希
♪～～♪♪～♪～♪
我那覇響
…すごい。二人とも、すっごく上手だぞ…。クーチョーの音と歌声が、胸の奥まで響いてくる…。
我那覇響
でも、どうして…こんなに、悲しい歌なの…?
星井美希
…ミキも貴音も、フツーにやってるの。でも、そう思うなら…それはきっと、響が悲しいからなの。
我那覇響
えっ…?
四条貴音
ここ数日、響の顔に、浮かない表情が混じることが多くありました。
四条貴音
仕事も、仲間との関係も良いようですし…なれば、故郷への想いがそうさせているのではないかと。
我那覇響
それで、沖縄なの?二人とも、心配性さー。それは、少しは寂しいって思うこともあるけど…。
我那覇響
母さんや兄貴とは手紙でやり取りしてるし、自分は全然…!
星井美希
…ねえ、響。そういうの、ミキたちの前ではやめにするの。
四条貴音
常に明るく、仲間や家族に心配をかけまいと振る舞うあなたの強さは、素晴らしいと思います。
四条貴音
ですが、私たちはあなたの友として…その強さとも、弱さとも、共にありたいのです。
星井美希
あのね。べつに、ミキたちは響に悲しくなってほしいって思ってるわけじゃないんだよ?
星井美希
なつかしいものだって、よろこんでくれるのもいいの。さびしいって思ってくれるのもいいの。
星井美希
ミキはね、ガマンするより、素直な響でいてほしいって思うな。
四条貴音
皆の前では、強くあらねばならないという心もわかります。しかし、今宵、この一時くらいは…。
我那覇響
……。
星井美希
で、どうする?次はあま～いものでも食べて、楽しい気分にしちゃう?
我那覇響
ううん、それより…。ねえ、美希、貴音。さっきの歌、もう一度歌ってくれる…?
星井美希
…うん、いいよ。響のために、心をこめて歌うね。
四条貴音
…ええ。何度でも。そして、いつでも。私たちは、傍にいますから…。
(台詞数: 50)