キミが空を飛ぶ日
BGM
FIND YOUR WIND!
脚本家
平沢ヒラリー
投稿日時
2017-05-17 01:00:37

脚本家コメント
麗花さん誕生日記念。元ネタは紺野キタの「キミが降りてくる日」より。

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北上麗花
「見て見て。私、空を飛べるようになっちゃった!」
北上麗花
北上麗花。同級生では一番の美人で、そして間違いなく一番の変人。
北上麗花
そのあまりにぶっ飛んだ言動ゆえに、女子達からは距離を置かれ。
北上麗花
下心ありきで近付いた男達もすぐに根を上げる。結果、クラスでは浮いた存在。そんな彼女が。
北上麗花
「すごいでしょ、えっへん!」
北上麗花
…文字通り浮いていた。比喩ではなく、物理的に。
北上麗花
「これで色んな所に行けるかな?雲の上とか、宇宙の端っことか。どう思う?」
北上麗花
…駄目だ、そんな所に言っちゃ。
北上麗花
うまく言えないけど、そんな所に行ったら、皆北上の事忘れてしまう。
北上麗花
「どうしたの、ひょっとして高い所苦手だった?ごめんね、私嬉しくてつい…」
北上麗花
そんなの嫌だろ、悲しいだろ?いっつも寂しそうな顔してたのに。
北上麗花
下りておいで。ちゃんと見てる。オレはいつだってずっと、北上の事を気にかけてー
北上麗花
…卒業して随分経つけど、あの時の事は今でもはっきりと覚えている。
北上麗花
あれは本当にあった事なのか、それとも夢だったのか。それがどうしても分からない。
北上麗花
分かっているのは卒業後北上が消息不明になった事と、そしてそれからしばらく経って。
北上麗花
「こんばんは皆さん、今日もニコニコ頑張っちゃいましょ~!」
北上麗花
…アイドルになってたって事だ。
北上麗花
高校時代の同級生達は驚くと同時に納得していた。なるほど、アイツにピッタリだって。
北上麗花
有名人になった途端、あれだけ距離を置いてた女子達は親しかったアピールを盛んにしている。
北上麗花
馬鹿な話だ、北上自身は成人式にも来なかったし、誰も連絡先を知らないってのに。
北上麗花
まあ、そんなくだらない話はさておき。
北上麗花
「ファンの皆さん、楽しいですか~?私もとっても、と~っても楽しいですよ~!」
北上麗花
…アイドルになった彼女は今、とても楽しそうだ。高校時代よりずっと明るい顔で笑って。
北上麗花
「茜ちゃん、今日はありがと。感謝のぎゅ~!」
北上麗花
ステージやTVではしゃいで、気ままに振舞って。アイドルは彼女の天職なんだろう。
北上麗花
…ああ、そうか。
北上麗花
やっと分かった。あの時彼女は消えようとして飛んだんじゃない。
北上麗花
見つけようとして、飛んでいったんだ。
北上麗花
そして見つけたんだ、彼女に相応しい居場所と、自分を受け入れてくれる仲間達を。
北上麗花
良かった。心の底からそう思う。本当に良かった、これからもずっと、そこで頑張って欲しい。
北上麗花
学校の連中は彼女の事、変人扱いするだけで全然分かってなかったんだから。
北上麗花
…いや、分かってなかったのはオレも同じか。たとえあの時の事が夢だったとしても。
北上麗花
彼女が消えるんだって勘違いして、あんな馬鹿な引き止め方をして。
北上麗花
接触が無いのも無理はない。彼女にとって、オレ達はもう過去の知り合いってだけなんだろう。
北上麗花
そう考えていると、携帯に見知らぬ番号からの着信があった。そして、それに出てみると。
北上麗花
「こんにちは。ね、最近連絡無いけどどうしたの?もしかして私に内緒で何かしてるとか…」
北上麗花
…彼女はやっぱり、よく分からない。

(台詞数: 37)