北上麗花
「あっ♪」
北上麗花
風が私の横を通りすぎる それを追いかけるように桜の花びらが横切る
北上麗花
「こんなところにまでくるんだねこんにちは 桜さん♪」
北上麗花
私はしゃがみこんで桜の花びらに挨拶をする
北上麗花
小さい頃から毎年のようにやってることだ
北上麗花
お母さんにはよく「麗花は不思議な子だ」って言われたっけ
北上麗花
たしかに私の周りを見渡しても私みたいな子は一人もいなかった
北上麗花
でもそんなときお父さんが言ってくれた
北上麗花
『麗花の麗は創造性 麗花の花は明るいって意味があるんだよ』って
北上麗花
それ以来、私は自分らしくいることにした
北上麗花
飾らないで作らないで そんなありのままの自分でいることにした
北上麗花
でもそれは楽しいことだけではなかった
北上麗花
私が自由にやることで笑顔じゃなくなる人がいた
北上麗花
それは小学校、中学校、高校 いや、どこにでもいた
北上麗花
私は誰かの笑顔を見ることが好き
北上麗花
それなのに私のせいで誰かが笑顔じゃなくなるなんて耐えられなかった
北上麗花
ーー「…!」
北上麗花
また強い風が吹く それにつられて桜の花びらも飛んでいく
北上麗花
「あー 待ってー!」
北上麗花
私は走って追いかける そしてあの日を思い出していた
北上麗花
あの人に プロデューサーさんに初めて会った日を
北上麗花
あの日もこうやって桜の花びらを追いかけてあの人にぶつかったんだっけ…
北上麗花
『アイドルに興味ありませんか?』
北上麗花
今では考えられないくらい丁寧な口調で話しかけてきたんだった
北上麗花
それでもあの日以来、私の悩みは消え去った
北上麗花
劇場のみんなは私を笑顔で迎えてくれて
北上麗花
ファンのみんなは私が歌ったりしゃべったりすると笑顔になってくれて
北上麗花
ああ、アイドルってなんて素敵なんだろう
北上麗花
ー「あっ!」
北上麗花
見覚えのある人影が見えてくる
北上麗花
あの日と同じ普通なあの人が
北上麗花
「こんなところにまで来てくれるんですね こんにちは プロデューサーさん♪」
北上麗花
アイドルという素敵な夢はまだまだ続く
北上麗花
ゴールなんてまだわからないから!
(台詞数: 34)