女子、三日会わざれば 最終話『手紙』
BGM
ココロがかえる場所
脚本家
遠江守(えんしゅう)P
投稿日時
2016-11-21 01:42:37

脚本家コメント
最終話です。
この長いお話に、長らくお付き合いいただきました方々に、心からの感謝を。

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周防桃子
…お兄ちゃんからの手紙。
周防桃子
封筒から取り出した便せんを広げてみる。
周防桃子
そこに並んでいるのは、手書きのていねいな字で。桃子はそれを一文字ずつゆっくりと読み始めた。
周防桃子
『桃子へ。』
周防桃子
『まずは、お疲れ様。今回のことでは、桃子も色々と苦労したと思う。』
周防桃子
『それについては、謝るしかない。本当にすまなかった。』
周防桃子
『この大会の出場者として桃子を選んだのは、向上心を買ってのことだったが…。』
周防桃子
『最初の日。俺はあえて席を外していたが、桃子の様子は、人づてに聞くことができた。』
周防桃子
『話だけでもその危うさがわかって、桃子には荷が重すぎたかと、後悔したものだった。』
周防桃子
『でも、三日を挟んだ後、桃子のステージを見たとき、胸を撫で下ろしたよ。』
周防桃子
『桃子が本当にのびのびと歌っていて。あれは、とてもいいステージだった。』
周防桃子
『貴音が桃子を助けてくれたんだってな?俺の方からも、貴音にはお礼を言っておいたよ。』
周防桃子
『あと一応言っておくけど、貴音の力を借りたことを気に病む必要は無いからな?』
周防桃子
『少しずるく思われたって、それも含めて桃子が自分の責任で決めた選択だ。』
周防桃子
『そして、貴音がいなければ、次の三日の後の、あのステージも無かっただろう。』
周防桃子
『大胆な選曲にもかかわらず、あそこまで完璧に歌いきった桃子には驚かされた。』
周防桃子
『桃子のポテンシャルの高さは知ってたけど、あれは俺の予想をはるかに上回っていたよ。』
周防桃子
『そして、さらに三日。最後の、決勝戦の日。』
周防桃子
『あのステージは、今までの何よりも鮮烈に、俺の心に焼き付いた。』
周防桃子
『…正直に言えば、悔しく思ったんだ。』
周防桃子
『ほんの三日という短い間に、見るたびに成長していく桃子の、その隣に俺がいないことに。』
周防桃子
『そして、嬉しくも思った。』
周防桃子
『俺が、桃子という果てしない可能性を秘めたアイドルのプロデューサーであるということに。』
周防桃子
『今、俺の頭の中では、桃子をどうやってプロデュースしようかという思いで一杯だ。』
周防桃子
『だから、また一緒に行こう。二人で。』
周防桃子
『そして、最後に。』
周防桃子
『ありがとう。頑張ったね。そして、おかえりなさい。』
周防桃子
『俺のアイドル、周防桃子へ。』
周防桃子
『おまえの、プロデューサーより。』
周防桃子
……。
周防桃子
手紙を読み終わって感じたのは、涙が出るような感動ではなくて、どこかさわやかな気持ちだった。
周防桃子
まるで、ジグソーパズルの最後の1ピースがかっちりはまったような、達成感。
周防桃子
…ああ。今、終わったんだ。
周防桃子
2週間も経っていないのに、一日一日がどこまでも長くて。
周防桃子
笑って、喜んで、悩んで、怒って。まるで燃えるように、全力と意地で突っ走った日々。
周防桃子
けっして忘れることはない。今だって思い出せば、あの時の想いがよみがえってくる。
周防桃子
…でも、桃子の出番は終わってしまったから。想いは思い出にしまいこんで。
周防桃子
また、桃子が新しいステージに立つまで、ゆっくりと待つとしよう。
周防桃子
その時まで。桃子の帰るべき場所で。
周防桃子
「…ただいま、お兄ちゃん。」
周防桃子
「休みはどうしたって?桃子はもう十分に休んだし、やりたいことがいっぱいあるの!」
周防桃子
「言っておくけど、お兄ちゃんだってプロデューサーとして成長しなくちゃダメなのよ?」
周防桃子
「だから、これからも桃子のために一生懸命プロデュースを…頑張ってね♪」
周防桃子
【おしまい】

(台詞数: 44)