三行半の契り
BGM
dear...
脚本家
ちゃん@春の日
投稿日時
2016-05-16 22:14:24

脚本家コメント
あるお方から「三行半」というキーワードのリクエストを頂き爆誕したドラマですが、言葉の意味を無理やり変えているので、上手くはないかもしれない。

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周防桃子
桃子は今、お兄ちゃんに三下り半を突きつけようとしている。
周防桃子
三下り半っていうのはね…
周防桃子
江戸時代に、夫が妻の家族宛に出す離縁状が3行半で書かれていたことから来てるんだって。
周防桃子
なんで桃子がそんな事を知っているのかって?
周防桃子
それはね、桃子のお母さんが、お父さんに三行半を突きつけたことがあるからだよ。
周防桃子
桃子の事で、いつも通りの夫婦喧嘩をした後になんだけどね。
周防桃子
あの頃はね、毎日が息苦しくて辛かったんだけどね…
周防桃子
でもね、アイドルになって状況は良い方に転がったんだ。
周防桃子
だから桃子はここにいる。
周防桃子
だから、お父さんとお母さんはいまここで手を取り合って、桃子の門出を見守ってくれている。
周防桃子
お兄ちゃんはね、もう桃子のお兄ちゃんじゃなくなるんだよ。
周防桃子
お兄ちゃんはね、もう桃子のプロデューサーではなくなるんだよ。
周防桃子
周防桃子というアイドルと…
周防桃子
周防桃子を支えるプロデューサー…
周防桃子
この関係にはもう終止符が打たれるんだよ。
周防桃子
だって桃子が三下り半を押し付けるから。
周防桃子
桃子ももう、二十歳になった。
周防桃子
9年間、長かったよね。
周防桃子
出会った頃はまだ頼りなくて、いつも桃子が上に立ってたね。
周防桃子
当然だよね、だって桃子の方が先輩なんだから!
周防桃子
いまでこそ思うけど、お兄ちゃんは優しいからそうさせてくれてたんだよね。
周防桃子
齢を重ねるにつれて、桃子の背は伸びて行った。
周防桃子
背が伸びるにつれて、お兄ちゃんへの気持ちも強まっていったんだ。
周防桃子
でもね、その想いを上手く言葉にすることはできないんだ。
周防桃子
だって、なんだか気恥ずかしいんだもん。
周防桃子
だから、飾らない桃子なりの言葉、考えてきたよっ!
周防桃子
「桃子にはプロデューサーも、この踏み台も…」
周防桃子
「もう必要ありません」
周防桃子
「これからは生涯の伴侶として、対等な関係で、手を取り合い慎ましく歩んでいくことを誓います」
周防桃子
白い服を着て鼻の下を伸ばすあなた。
周防桃子
それを見て、あなたでよかったと心から思ったよ。
周防桃子
さっきの言葉通り、今まで大切にしてきた踏み台はもういらない。
周防桃子
それは長い間、桃子の心の支えになっていた物だったんだけどね…
周防桃子
けれど、もういいんだ。
周防桃子
桃子にはもう、一生添い遂げる者が傍にいるから…
周防桃子
神父さんの合図に合わせて、踵を少し上げて、背伸びをする桃子。
周防桃子
そこに踏み台は無く、代わりにあなたがこの身体を支えてくれている。
周防桃子
そして二人は…
周防桃子
三行半の契りを…
周防桃子
鐘が鳴る。

(台詞数: 40)