周防桃子
「ふんふーん♪」
周防桃子
広げたのは、真っ白な画用紙と……12色入りの、お気に入りの色鉛筆。
周防桃子
その中から黒の色鉛筆を取り出して、画用紙に向かう。
周防桃子
「…………」
周防桃子
ゆっくりと目を閉じ……頭の中に描きたいものを思い浮かべる。
周防桃子
「……よし」
周防桃子
画用紙の中に大きく、色鉛筆を走らせる。
周防桃子
ふんわり描いたその曲線は、柔らかくてぷにぷにしたほっぺ。
周防桃子
「一回、ずっとぷにぷにしてたら怒られたっけ……。で、ここから……」
周防桃子
ほっぺの辺りからぐいっと上に大きく円を描き、反対側のほっぺにつなげる。
周防桃子
描いているのは、まん丸かわいいおかっぱヘアー。
周防桃子
かわいいんだけど、たまにキノコみたいだなーって思ってることは、内緒にしておこう……。
周防桃子
「んー……髪の毛塗るのめんどくさい……。あっ!芯折れた!」
周防桃子
「も〜〜……。小鳥さーん、鉛筆削りある?………へへ、ありがとう」
周防桃子
「え?なに描いてるのか?み、見ちゃダメ!?なに描いてるかは内緒!!」
周防桃子
「もう……。で、次は目か……」
周防桃子
一生懸命思い出しながら、浮かんだものを画用紙に描き写していく。
周防桃子
「こんな感じかな?」
周防桃子
ぱっちりと、キラキラしてて、大きな目。透き通って硝子玉みたい。
周防桃子
このクリクリとした大きな目が……
周防桃子
たくさんの人の中から
周防桃子
桃子のことを見つけてくれて……
周防桃子
選んでくれたんだな……。
周防桃子
「…………。お、上手くかけた♪そっくりそっくり」
周防桃子
「お鼻はこんな感じで、次は……口か」
周防桃子
「どうしよう……。うん」
周防桃子
「やっぱりこうだよね……」
周防桃子
まあるく描いたお顔の中に、はみ出しそうなくらいに大きな半円。赤とピンクで塗りつぶす。
周防桃子
「うん……ぽいね」
周防桃子
いつも楽しそうに笑うそのお口は
周防桃子
いつも桃子の事を楽しませてくれる。
周防桃子
笑顔にしてくれる。
周防桃子
「………」
周防桃子
……初めて話しかけられた時の事を思い出す。
周防桃子
『──ねえ桃子ちゃん、いっしょにおべんとうたべよ?』
周防桃子
そこで始まって、今日までずっと続いてきたこの関係。
周防桃子
「でーきた♪」
周防桃子
画用紙を掲げる。別に上手くはないけれど、心を込めて描きたかったのは
周防桃子
ずっと隣で眺めてきた……大好きな笑顔。
周防桃子
「最後に……」
周防桃子
ペタリと貼ったシールは、クマさんと、ウサギさんが仲良く手をつないでいるもの。
周防桃子
それは一番最初に2人で遊びに行った時に、記念に買ったシール。
周防桃子
「……あ、来た来た!」
周防桃子
「ちょっとこっち来て?……へへ」
周防桃子
「育、お誕生日……おめでとう」
(台詞数: 45)