周防桃子
「……桃子がビデオレター送るなんて、意外?まあ確かに、ほとんど毎日顔を合わせてるよね。」
周防桃子
「これ、大スタア桃子が、お兄ちゃんの為だけにドラマを撮るみたいなものだよ。大事に観てね!」
周防桃子
「でも肝心な時抜けてるからなあ。慌ただしいからって、聞き流したりしたら許さないんだから!」
周防桃子
「……冗談冗談。桃子、お兄ちゃんのことは信じてるから。このビデオ、きっと心に届くよね。」
周防桃子
「……桃子、このギョーカイでは先輩だけどね。お兄ちゃんは頼りにしてるんだよ。」
周防桃子
「芸能界の事は分かっても、それ以外のことは知らない桃子に、色んなこと教えてくれたよね。」
周防桃子
「できる限り、学校に行く時間を作ってくれて。育や環、同年代の子と一緒にもしてくれて……
周防桃子
……友達の作り方に気づけたのは、そのおかげかな。芸能界的な意味じゃない、普通の友達のね。」
周防桃子
「……それに、桃子をアイドルにしてくれたのも感謝してるよ。」
周防桃子
「最初は、女優じゃないことに反発してて、ナマイキ言ってたと思うけど……
周防桃子
ひたすら作品で評価されればいいんじゃなくて、ファンのみんなの反応を直に感じる大切さとか、
周防桃子
『役』でなくて、自分自身を受け容れてもらう喜びとか。女優だけだったら、分からなかったよ。」
周防桃子
「お兄ちゃんがプロデュースしてくれたから、桃子はアイドルからスタアにも成れたよ。」
周防桃子
「……でも、アレは言っちゃ駄目だよ。『芸の足しに、恋愛をしてもいいぞ。』だなんて。」
周防桃子
「桃子の演技力が信じられなかった?『だ〜いすきっ!』って言ったら、大喜びしてたのに?」
周防桃子
「別に桃子、シミュレーションの為に、誰かとお付き合いなんてする必要ないから。」
周防桃子
「……やっぱり肝心な時抜けてるんだから。桃子はお兄ちゃんが居れば、それで十分なの。」
周防桃子
「……これ以上は言わないよ。桃子はスタアなんだから。」
周防桃子
「……ちょっと話すぎちゃったかな。あんまり長く撮ると迷惑だろうから、そろそろ終わるね。」
周防桃子
「……また、桃子のそばに居てね。」
周防桃子
「アイドルとして見つけ出してくれたみたいに……また、一緒になろうね。」
周防桃子
「それじゃ……バイバイ。」
周防桃子
……
周防桃子
(司会)『以上、周防桃子さんからのビデオレターでした。』
周防桃子
(司会)『50年に渡り芸能界でプロデュース業に取り組まれた氏を偲び、放映いたしました。』
周防桃子
(司会)『なおこの映像は、彼がプロデュースしたスタア、周防桃子さんの意向により……
周防桃子
(司会)……音声収録後、二人が出会った頃をCGで再現し、合成しております。』
周防桃子
(司会)『事実上の夫婦として仲睦まじかった、氏と桃子さん。』
周防桃子
(司会)『先に旅立たれた桃子さんの元に、いま氏も向かわれたのでしょう。それでは、合掌……』
(台詞数: 29)