周防桃子
雨、なかなかやまないね。
音無小鳥
そうねえ。桃子ちゃん、お迎えの人が来るまで、おやつにする?
周防桃子
桃子、小鳥さんには一目おいてるけど、桃子のこと子ども扱いしないでってば。
音無小鳥
あら?わたしったらなんで桃子ちゃんに一目おかれてるの!?え、もしかして、しょ、昭和だから?
周防桃子
え?あ、ああ、しょうわって、平成の前の…んーと。どうかな。
音無小鳥
え、ええええ!?ショック…。
周防桃子
あれ、そんなにショックなの?オトナってことでしょ?しょうわってそんなに昔?
周防桃子
…あ、これも言っちゃいけなかった?
音無小鳥
……プリンが冷蔵庫に入ってるから一緒に食べよって言うつもりだったんだけどひとり淋しく食べ…
周防桃子
小鳥おねえちゃんっ♪ いっしょにプリン食べよっ♪
音無小鳥
お、おねえ…ちや~ん………メ…メディ…ーック……///
音無小鳥
そ、そうね。小鳥おね、おねえちゃんちょっとオトナ気なかったかな?いっしょに食べましょ♪
周防桃子
わぁい、いただきまー…あ、美味し。
音無小鳥
ここのプリンの美味しさがわかるとは、桃子ちゃんもなかなかね!お気に入りのお店なの。
周防桃子
えへへ。オトナの味ってカンジだね。
周防桃子
あの、小鳥さん、さっきの話。
音無小鳥
えっ、さっきって…あ、昭和生まれ?そ、そんなに気になんかしてないわよ??
音無小鳥
……。
音無小鳥
ちょ、もう、おね、おねえちゃん、そんなに傷ついてるように見えたかなぁ~?
周防桃子
そのお話じゃないの。あ、でも……どっち?
音無小鳥
…ハイ、すこし、グサッザクッブシュッときましたおね、おねえちゃん。
周防桃子
ごめんなさい。あの、ほんとにごめんなさい。でも、そのお話じゃなくって。違ったの。
周防桃子
小鳥さんは、桃子が生まれる前に、アイドルをやってたって。
音無小鳥
ああ、それはさすがに平成になっ…んあ!?げほっげほっ。な、なぜそれを知って……?
周防桃子
……もしかして、これも傷つけちゃうお話?
音無小鳥
まあ、桃子ちゃんにそんな心配させちゃって、おね、おねえちゃんこそ、ごめんなさいね。
音無小鳥
いいえ。
音無小鳥
おね、おねえちゃんね、自分で決めてアイドルになって、自分で選んで辞めたの。傷つくなんて
音無小鳥
今はないわよ?
周防桃子
小鳥さん。
音無小鳥
なぁに、桃子ちゃん?
周防桃子
噛んじゃうんだったら、おねえちゃんって言わないほうがいいかも。
音無小鳥
そ、そうね…あはは。
周防桃子
ねえ、アイドルの世界、こわくなっちゃったの?
音無小鳥
ん、どうかしら。でもね、怖くなったなら、この事務所でなんて働けないわよ?フフッ
周防桃子
そっか、そうだよね♪ 桃子もね、アイドルのお仕事、さいきんちょっと好きかもって。
周防桃子
いまのはウソ。
周防桃子
ほんとうはぁ、大好き。
周防桃子
でも、桃子、小鳥さんのアイドルのお話のこと考えると、いつもこんがらがっちゃうの。
音無小鳥
……え、いつも?
周防桃子
うん……いつも考えてる。この劇場に来る前からずっと、いつも考えて…
音無小鳥
ええっ?ちょっ……?
周防桃子
桃子、前の事務所を辞めて、一回引退して、それからアイドルの事務所に入ったから。
周防桃子
ええと。
音無小鳥
桃子ちゃん、わたしが辞めたのはね、アイドル同士の競争がイヤで、とかじゃないの。
周防桃子
うん。
音無小鳥
事務所や芸能界のオトナ達のせいでもなかったわ。
音無小鳥
そうね…桃子ちゃんが何かを決心する手助けになるなら。
周防桃子
……。
音無小鳥
雨もやまないことだし。ちょっとだけ、そのお話をしようかしら。
(台詞数: 50)