ジュリア
『夢は夢として眠るときにみるものでしょう?』
ジュリア
飛び出した家に住んでいる両親。その二人が口を酸っぱくしてよく言っていた。
ジュリア
あたしに名前をくれた、存在を与えてくれた人が心から愛してくれているからこそ言う厳しい言葉。
ジュリア
でも、それはあたしが欲しかった言葉じゃなかった。
ジュリア
欲しかったモノじゃなかった。あたしは支えてほしかったんだ。
ジュリア
その梯子を外されてショックだった。そしてなにより認めてくれないことが悔しかったんだ。
ジュリア
あの日もそうだった。
ジュリア
この言葉を投げられて、あたしの夢は、気持ちはズタズタに切り裂かれた。
ジュリア
それが引き金で喧嘩になって、飛び出して、証明したくてあたしはここにいる。
ジュリア
ポジティブシンキングな発想で行けば、今のあたしでいるきっかけをくれたとも考えられる。
ジュリア
でも、この人達に名前はもらえない。
ジュリア
それをするということは、この名前を否定することになる。その愛を拒むことになる。
ジュリア
まあ、二人からの愛は拒み続けているようなものだけど。
ジュリア
これだけは、人としてしちゃいけないって思った。
ジュリア
そう思うんだ。
ジュリア
『その綺麗な目をしっかり開いて、あなたの夢、追いかけなさい』
ジュリア
夢に溺れて、ボロボロになっていたあたしを救ってくれた人の言葉。
ジュリア
この人が、夢は目を開いてみるものだって教えてくれた。
ジュリア
そうじゃなきゃ、あたしは確実にそこらへんで野垂れ死にしている。
ジュリア
あたしの夢を肯定してくれて、あたしを支えてくれた。
ジュリア
あたしに居場所をくれたんだ。
ジュリア
だからあたしはここにいて。こうして歌っていられて、ギターを弾いていられて。
ジュリア
夢を見ていられる。そしてその夢の続きを示された。
ジュリア
こんなチャンス、滅多にない、てか今後一切無い事かもしれない。
ジュリア
だから掴みたいんだ。
ジュリア
賭けてみたいんだ。
ジュリア
だけどそれには"名前"が必要だといわれた。
ジュリア
正直、歌を、音色を届けるのに名前何てどうでもいいと思っていた。
ジュリア
スーパースターになれば、名前なんて後からついてくる。
ジュリア
名声と一緒にくっついてくるって、そんな短絡的な思考。
ジュリア
でもそうじゃなかった。
ジュリア
どんなスーパースターであっても、名無しじゃない。
ジュリア
無名の時代はあるかもしれないけれど…
ジュリア
彼等にもしっかり"名前"があるんだ。
ジュリア
スーパースターになってどんなに着飾っていようとも。
ジュリア
彼等には泥臭くもがいていた時代があった。
ジュリア
生き繋ぐ時代があった。
ジュリア
その時から、夢を見続けるための"名前"があったんだ。
ジュリア
名無しのお姉さんのあたしはまだ、その土俵にすらたっていない。
ジュリア
だから、あたしに居場所をくれた人から名前をもらいたい。
ジュリア
それが意味するのは…
ジュリア
あたしに与えられた居場所を自らの意思で去ること、そして次の居場所(ステージ)にいくこと。
ジュリア
土俵(ステージ)にたつこと。
ジュリア
それは一種の儀式みたいなものなんだ。
ジュリア
だから、あなたからもらったこの居場所を去る代わりに、この居場所にいた証明として…
ジュリア
あたしの心に刻むために、"名前"をもらおうと思うんだ。
ジュリア
どんな名前でも受け入れる。今度こそ、真直ぐに受け止めて、真直ぐを見据えて…
ジュリア
もう一度、素直になるよ。
ジュリア
あなたにもらったなにもかもを道しるべにして。
ジュリア
あたしは旅立つんだ。
(台詞数: 50)