ジュリア
「...ついにここまで来たか...。」
ジュリア
必要な荷物をまとめたキャリーバックとギターを持ち、見慣れた夜の街を歩く。
ジュリア
あたしは今日、生まれた家を出ていった。 親にはもちろん内緒だ。
ジュリア
...これはあたしなりの決別。 過去と別れて新しい道へ進む、という決意だ。
ジュリア
「チッ...また鳴ってるよ...。」
ジュリア
恐らく戻ってこい、という内容のメールなんだろう...まぁ気持ちはわかるけどさ。
ジュリア
「...こんなことなら置き手紙くらいはするべきだったな...。」
ジュリア
今になって少し未練というか...心残りが生まれてしまった気もする...。
ジュリア
本音で話し合えなかった両親、友人、そして...
ジュリア
本音で話し合えなかった両親、友人、そして...弟分のサイファ。
ジュリア
...あの日から、765に面接に行く前からサイファには連絡すら取っていなかった。
ジュリア
「...サイファ...。」
ジュリア
?「おおおーい!!アネキーッ!」
ジュリア
「...まさか、この声は...」
ジュリア
後ろから聞こえる聞き馴染みのある声...まさにアイツの声だ。
黒井社長
サイファ「おい、アネキのオヤジさん! ここでストップ、早く!!」
黒井社長
ジュリア父「君、危ないから! 窓から出ないで! ホントマジで!」
黒井社長
サイファ「うっせぇ! 早くドアを開けろバーカ!!」
ジュリア
「...何やってんだよ...。」
ジュリア
サイファはなぜかあたしの父親と一緒に車に乗っていた...ホントになんで?
ジュリア
サイファ「いや~、ジジイからアネキのオヤジから出ていったって聞いて駆け付けたんさ!」
ジュリア
サイファ「とりあえずオヤジさんをパシリにして走らせてたらアネキが...」
ジュリア
...コイツ、人の親をパシリって言ったよな...相変わらずスゴいヤツだな...。
黒井社長
父「...」
ジュリア
「...父さん...」
黒井社長
父「...なぜ俺達に何も言わずに出ていったんだ?」
ジュリア
「...それは...あたしが出ていくことを止めると思ったから...」
ジュリア
...あたしは怖かった...父親という存在に初めて真っ正面から歯向かったからだ...。
ジュリア
そんなあたしに対して父さため息をついて、まさかの一言を言った。
黒井社長
父「...止めるわけないだろ? 止めたところで諦めてくれるわけでもあるまいし。」
黒井社長
父「お前は昔っからそういうとこ頑固なんだよ。 女の子なのに可愛いげがない。」
ジュリア
「それは...父さんも同じだろ...」
黒井社長
父「...お前にギターを買ってやった時...俺と母さんは思ったんだ。」
黒井社長
父「もしかしたら...この子は芸能界で一旗あげるのかもしれない...ってな。」
黒井社長
父「行ってこいよ、お前が信じたものを、叶えたい夢を掴んでこい!」
ジュリア
「父さん...ホント、どんだけ言うのが遅いんだよ...」
ジュリア
サイファ「なぁなぁ! オレもアネキに言いたいことがあんだよ!」
ジュリア
サイファ「アネキはさ、自分のことに、自信持たなすぎなんだよ!」
ジュリア
サイファ「アネキはオレにギターっていうカッケーの教えてくれたシショーなんだよ!」
ジュリア
「ははっ...嬉しいこと言ってくれんじゃんか!」
ジュリア
サイファ「だからオレはアネキのスゴさがわかるし、リスペクトしてる。」
ジュリア
サイファ「だからアネキはみんなにその姿を見せてやってくれよ! きっと喜ぶから!」
ジュリア
...そうだ、あたしがロックシンガーを目指す理由...それは高嶺の花になるためじゃない。
ジュリア
...あたしはみんなに、あたしのロックを...歌を楽しんでもらいたかったんだ...。
ジュリア
「ありがとよ...父さん、サイファ。」
黒井社長
父「...礼を言うのはお前がトップに立ってからだろ?」
ジュリア
サイファ「オレもアネキに負けねえくらい、スッゲー活躍してやっからな!」
ジュリア
「ああ! ...あたしはもう行くよ。 これ以上はここにいれないから...。」
ジュリア
あたしは星降る夜の街を駆け出した、泣き顔なんて見せられないから。
ジュリア
ただ二人の応援団...彼らの声を受けながら、あたしはアイドルへの一歩を踏みしめた
(台詞数: 50)