ジュリア
「...ここに来るのも久しぶりだな...」
ジュリア
あたしは何ヵ月かぶりにライブ喫茶『ロウ・ストリート』のドアを開ける。
ジュリア
久しぶりに感じる優しい光と、少しの騒がしさにあたしは懐かしさを感じていた。
高木社長
マスター「...もしかしてジュリィかい? 久しぶりじゃないか!」
ジュリア
ジュリィと久しぶりに呼ばれ、あたしはなぜか少しホッとしていた。
ジュリア
「ああ、久しぶり。 マスターの方はどうなんだ?」
高木社長
マスター「特には変わったことはないよ。 腰痛が最近ひどい以外はね!」
ジュリア
「...そうか...なら安心だ。」
ジュリア
マスターが少し老けたように見えたので心配したのだけど...心配しすぎだったみたいだ。
ジュリア
サイファ「ジジイただいま! 腹へったから、なにかよこせ!」
高木社長
マスター「はぁ...お前は食うことと弾くことしか考えてないのかい? ...少し待ってて。」
ジュリア
サイファ「おう! いつものヤツたのむ! アンタもなんかたのむか...」
ジュリア
サイファ「ってアネキじゃんか! ひさしぶりだな!? 腹へってて気づかなかった!」
ジュリア
「お、おう...相変わらずそうだな、お前は。」
ジュリア
かなりの時間が経ったにも関わらず、サイは前と比べて成長してないようだ...。
ジュリア
サイファ「ジジイ! メシはまだか? 早くメシを食わせろ!!」
高木社長
マスター「はぁ...ジュリィ、私がしっかりしてれば...すまないね。」
高木社長
マスター「でもサイファの奴、芸能事務所に育成枠でスカウトされたんだ。」
高木社長
マスター「奇跡にも近い確率だったらしいけど...本当に強運なヤツだよ。」
ジュリア
サイファ「はぁ!? ちげぇし! オレの実力なんですけど?」
ジュリア
サイはドヤ顔をしながらそっぽを向いてしまう...本当にガキだな...。
ジュリア
でも、あたしに持っていないものを持っている...だからコイツは選ばれてあたしは外された。
ジュリア
...コイツは未熟だし、経験もシロート同然...なのにあたしより先にいる。
ジュリア
その差は何なんだろうか...あたしはわからなかった。
ジュリア
サイファ「...ん? アネキ、その紙はなんだ?」
ジュリア
「あ...それは...。」
ジュリア
サイファ「765ぷろ...って書かれてるけど...どこだ?」
高木社長
マスター「ああ、知ってるよ。 ここ一年近くですごく有名になったとこだね。」
ジュリア
マスターは料理を持ってきながらCDをあたし達の前に差し出す。
高木社長
マスター「最近ハマってるのがこの娘。 海外レコーディングも行った娘らしい。」
ジュリア
そこにはあたしと同じくらいの少女が写っていた。 青い髪がキレイな女子だ。
ジュリア
「へぇ...ってことは結構実績もあるいいところってワケか...。」
高木社長
マスター「そういうこと。 そこからスカウトが来たんなら...行ってきた方がいいよ。」
ジュリア
「...スカウトって言うのかは...微妙だけど...そうだな。」
ジュリア
「...わかった。 とりあえず面接くらいなら受けてくるよ。」
ジュリア
業界通のマスターが推すなら、きっといい会社なんだろうと思う。
ジュリア
...まぁ、合わなかったら蹴ればいいし...とりあえず近いうちに電話してみようか...。
ジュリア
サイファ「...あれ? この女どこかで...。」
高木社長
マスター「...サイファ、今は黙っておいてくれ。」
ジュリア
サイファ「おう...わかったよジジイ。」
高木社長
マスター「...すまないね、」
高木社長
マスター「...すまないね、ジュリィ。」
(台詞数: 42)