ジュリア
ストリートでの演奏を始めたのは確か1年前...14歳の時だった。
ジュリア
何かの音楽番組で、プロのミュージシャンがストリート出身と聞いたのがきっかけだ。
ジュリア
ストリート...つまり路上ライブのことだ。 都内だと結構ちらほらと見るアレのこと。
ジュリア
あたしの住んでいるこの地域ではそういうのがけっこう盛んで、夜でも騒がしい。
ジュリア
「さてと...いい加減帰るかな。」
ジュリア
割と気分も落ち着いたので演奏をやめた...今日はよく眠れそうだ。
ジュリア
あたしが荷物を持って帰ろうとすると、裏路地の方で何か叫び声が聞こえた。
ジュリア
数人の男に子供の声...たぶん子供の方がやられているんだろう。
ジュリア
「全く...いつからここはスラムになったんだよ...」
ジュリア
そうあきれる中で、あたしの中に助けたいという感情が芽生えた。
ジュリア
...危険だとはわかっている、だけどあたしは見捨てる事が出来なかった。
ジュリア
子供をいじめ、無視する薄情でゲスな大人になんかなりたくない...そう思ったからだ。
ジュリア
そして携帯で警察に連絡しようとするけど...途中で手が止まった。
ジュリア
...午前0時...あたしも補導される光景が思い浮かんだ。
ジュリア
「ああっ、くそっ!! 結局ケンカするはめになるのかよ!」
ジュリア
あたしは路地裏に入ろうとすると、その奥から人影が向かってきて少しずつ姿を現す。
ジュリア
その姿は意外なことに、大人の方ではなく子供の方だった。
ジュリア
あたしよりも幼く、体中にはアザやキズがついていて、ところどころ血が垂れている。
ジュリア
「おい...大丈夫...か?」
ジュリア
あたしは声をかけても子供は何も答えない...ただじっとあたしを見ている。
ジュリア
?「...」
ジュリア
まるで敵を見つけた犬...いや、動物みたいにフーッ、フーッと荒く息を吐いている。
ジュリア
?「.......。」
ジュリア
その子供はあたしの方を向きながら、膝から崩れ落ちるように倒れた。
ジュリア
さっきまでの荒い息が寝息になった。 あたしはそいつに肩を貸す。
ジュリア
「救急車は今使えないし...あそこしかないか。」
ジュリア
深夜0時、キズだらけのガキんちょを肩に抱えてあたしは来た道を振り返った。
(台詞数: 27)