ジュリア
悲しみが降る夜の街
ジュリア
あたしはヒトリボッチでその悲しみに打ちひしがれる。
ジュリア
大人になって気付くその夢の無謀さ。
ジュリア
大人になって見えてくる、置かれた現実の厳しさ。
ジュリア
今のあたしは宿無し、一文無し。
ジュリア
帰る場所すらない。
ジュリア
ただのホームレスだ。
ジュリア
夜空から降る悲しみ、それから身を守る場所なんてあるわけがなかった。
ジュリア
いま、この場所があたしのステージなんだとしたら…
ジュリア
風の音も、雨足の音も、全部あたしに飛んでくるヤジだろうな。
ジュリア
もう辞めちまえ…とか…
ジュリア
下手くそ…とか…
ジュリア
罵詈雑言が飛んでくる。
ジュリア
あたしは未来(ゴール)の見えない、そんな街(ステージ)を…
ジュリア
ひたすら彷徨っている。
ジュリア
雨合羽を被せたギターケース。
ジュリア
大人ぶったあたしが守りたい、他人からすればちっぽけなモノ。
ジュリア
でも、この中には、あたしが子供の頃から抱えた純粋なモノが詰まってる。
ジュリア
今のあたしの見てくれがどんなにみすぼらしくても…
ジュリア
どんなに醜くて、後ろ指を指されようとも…
ジュリア
そんな、願い事をたくさん詰めた、この鞄だけは…
ジュリア
子供の頃のまま、綺麗な夢のままであってほしかった。
ジュリア
けれど、それすらも侵してしまいそうな悪天候。
ジュリア
嘲笑するかのような大雨に、あたしの身体はもう悲鳴をあげている。
ジュリア
もう、どれくらい歩いただろうか。
ジュリア
もう、どれくらい彷徨ったのだろうか。
ジュリア
さすがに寒くて、身体も重い。
ジュリア
寂しくないのに、寂しい。
ジュリア
脳裏にちらつくあの顔がうっとおしくおもう。
ジュリア
きっと、凍えるくらい寒い雨のせいだ。
ジュリア
もう壊れそうだ…
ジュリア
深い闇の淵に落ちたあたし。
ジュリア
もうスーパースターなんかになれるわけがない。
ジュリア
もうノーチャンスだ。
ジュリア
だって、あたしはストリートミュージシャンじゃなくて…
ジュリア
ストリートチルドレンだったんだからな…
ジュリア
「あっ」
ジュリア
そんな暗闇を照らすように、光が一筋、あたしの顔に射す。
ジュリア
ストリートチルドレンが行きついた場所は…
ジュリア
ある商店街にある、例のお店の前だったんだ…
(台詞数: 40)