ジュリア
家を飛び出してからどれくらい経ったっけな
ジュリア
あたしを取り巻く環境があまりに目まぐるしく変わったもんだからさ
ジュリア
立ち止まって振り返る暇もなかったっての・・・
ジュリア
仕事終わり、事務所の屋上
ジュリア
いつも、プロデューサーが考え事をする時にもたれている屋上の柵
ジュリア
あたしも同じようにもたれてみる
ジュリア
顔を上にあげると珍しく満天の星が広がっている
ジュリア
綺麗だな・・・
ジュリア
こんな夜空を最後に見たのはいつだったっけな・・・
ジュリア
ああ、そっか・・・
ジュリア
あの日もこんな夜空だった・・・
ジュリア
「夢は夢として眠る時に見るものでしょう?」
ジュリア
「とにかく馬鹿げた夢を追うのはやめて、勉強しなさい」
ジュリア
親には頭ごなしにそう言われた
ジュリア
あの日・・・
ジュリア
自分の夢が全否定されて悲しかった
ジュリア
自分の夢が馬鹿にされたみたいで悔しかった
ジュリア
それであたしが啖呵を切って、勢いに任せて家を出たんだっけな・・・
ジュリア
なんだかあの時が一番熱くなってた気がするな
ジュリア
お気に入りのギター片手に身一つで、行き場もなくて途方にくれたっけ
ジュリア
正直な話、先の事もよく考えないまま飛び出したもんだから
ジュリア
色々不安だったよ、ちょっと怖かったかもしれない
ジュリア
そんな時、ふと夜空を見上げたら
ジュリア
まるで今日みたいに宝石をバラまいたような星空でさ
ジュリア
それがあたしに頑張れよ、諦めんなよって言ってるみたいでさ
ジュリア
その時はまだわからなかった未来の可能性と自分を信じようって思えた
ジュリア
そっからさ、ほんの少しの手違いだったけど・・・
ジュリア
あたしはこうしてアイドルになった
ジュリア
はじめはさ、アイドルじゃパンクロックなんてできないじゃんとか思ったよ
ジュリア
でもさ、プロデューサーは言ってくれたよな
ジュリア
「パンクロックをするアイドルがいたっていいじゃないか!」
ジュリア
「ジュリアの良いところを押し出していけるように俺も頑張るからな」って
ジュリア
あたし嬉しかったよ、それだけで救われた気がした
ジュリア
あたしの夢は、誰にでも、親にすら鼻で笑い飛ばされるような、そんな夢だったのにさ
ジュリア
プロデューサーだけは、初めからあたしの夢を全肯定してくれた
ジュリア
あたしの夢に真剣に耳を傾けてくれて、真摯に受け止めてくれた
ジュリア
あたしに手を差し伸べてくれた
ジュリア
それで今があるんだよな
ジュリア
あたしはアイドルになれてよかったって思うよ
ジュリア
それに・・・今更もう後戻りはできないしな
ジュリア
あれ・・・おかしいな
ジュリア
どうしてあたし泣いてるんだ
ジュリア
そっか・・・
ジュリア
星が綺麗すぎて、無意識のうちに心が打たれちまったみたいだ
ジュリア
屋上にいるのがあたし一人でよかったよ
ジュリア
こんな顔を誰かに見られたら恥ずかしいどころの話じゃ済まないからな
ジュリア
でも、プロデューサーにだったら、こんなあたしの表情を見せてやってもよかったかもな
ジュリア
いやいや、そうじゃなくて・・・
ジュリア
どうせなら・・・この夜空をあなたと一緒に見たかったな
ジュリア
いつか、そのうち・・・見れるといいな
(台詞数: 50)