音無小鳥
──これは、とある週末の出来事。
高木社長
やあ、久しぶりだね。
黒井社長
貴様……何故ここにいる。
高木社長
今日はゆったり呑みたい気分でね。いやあ、奇遇だ……って、どこへ行くのかね?
黒井社長
帰る。貴様の面を見てると酒が不味くなるわ……!
高木社長
残念だ。君に会ったら、この女子高生版音無君のブロマイドを渡そうと思っていたんだが……。
黒井社長
……ふん。少しだけなら付き合ってやる。
黒井社長
────
高木社長
どうだい、景気の方は。
黒井社長
早く寄越せ。
高木社長
まあまあ、そう慌てるな。お互い積もる話もあるだろう。
黒井社長
ない。早く寄越せ。
高木社長
では、こちらから。
高木社長
……黒井、765プロに来ないか?
黒井社長
馬鹿か。気でも触れたか、高木順二郎。
高木社長
そんなことないさ。むしろ最近は以前より勘が鋭くなっているように感じるよ。
黒井社長
貴様は……私に何をさせようとしている。
高木社長
うん?
黒井社長
惚けるな。私は過去に765プロを散々妨害してきたのだ。それを精算させる腹積もりなのだろう?
黒井社長
プロデューサーか? はたまた雑用か? どうせ録なものではないだろうが……!
高木社長
はっはっは。そんなつもりは毛頭ないよ。
高木社長
君にやってもらいたいのは……アイドルだ。
黒井社長
ア、アイドル……だと?
高木社長
そうさ。実を言うと、最近の哀愁感溢れる君にはティンときっぱなしでね。
高木社長
そのイケメンボイスとダンディなビジュアルで世の中を魅了してみせようじゃないか。
黒井社長
な、何を馬鹿な……。
高木社長
おや? 豪放磊落な君にしては随分と後込むじゃないか。
高木社長
もしや──怖いのかね?
黒井社長
なっ……!
高木社長
では、このSR『朝焼けは黄金色 音無小鳥』の話はなかった事に……。
黒井社長
貴様ぁ……! どこまで外道を征く……!
高木社長
黒井、よく考えてみたまえ。君は今、またとないチャンスを掴もうとしているのだよ。
高木社長
『このチャンス逃したら次はないかも──』と偉大な歌にもあるだろう?
黒井社長
ぐ……。し、しかしだな……。
高木社長
悩むのは結構だが、無情にも時間は有限だ。私も、君も、もう若くはない。
高木社長
ああ、そういえば「タイムイズマネー」は君の座右の銘だったね。
黒井社長
くっ……。
黒井社長
い、いいだろう……。その条件、飲んでやろうではないか……!
高木社長
本当か! いやあ、嬉しい限りだよ!
高木社長
これからよろしく頼む。期待しているよ、黒井。
黒井社長
ふん、別に貴様の為にやるわけではないわ。
高木社長
最上君と言い、北沢君と言い、そのツンな態度は人気の証だ。トップアイドルは容易いな。
黒井社長
ああ、私もそう思っていたところだ……!
高木社長
では約束通り、このブロマイドは君の物だ。
黒井社長
がしっ。
高木社長
がしっ。
音無小鳥
こうして大型新人アイドル、黒井崇男の伝説の幕が上が──
音無小鳥
りませんでした──。
音無小鳥
ちなみに女子高生時代の小鳥ブロマイドは、後にログインボーナスで配布されたそうです。
音無小鳥
な、なんだか照れちゃいますね。
(台詞数: 50)