音無小鳥
ピッピッピッピ・・・
音無小鳥
P...微かに聞こえてくる無機質な機械音
音無小鳥
P...次第にその音は頭の中に響くかのように大きさを増していった
音無小鳥
P「ん・・・んぅ・・・」
音無小鳥
P...白い、目の前には真っ白な壁が広がっている、恐らく天井だろう
音無小鳥
Pさん、やっと、目が覚めたんですね
音無小鳥
P...椅子に腰をかけて、読書をしていた音無さんは本を畳み、微笑む
音無小鳥
P...思わずその姿にドキッとしてしまう。母性あふれる大人の魅力というものだろうか
音無小鳥
P(ああ、そうか、音無さんは俺より年上なのか)
音無小鳥
P...妙に納得してしまった
音無小鳥
P「あの・・・おれ、一体どれくらい寝ていたんですか?」
音無小鳥
そうですね、Pさんが倒れてから二日が経ちましたね
音無小鳥
P「本当にすみません、俺としたことっ!」
音無小鳥
ちょっと、Pさんっ!!まだ目覚めたばかりなんですから安静にしてください!
音無小鳥
P...無理矢理身体を起こして謝ろうとする俺を、音無さんは慌てて宥める
音無小鳥
P「でも、俺・・・二日も・・・」
音無小鳥
P「みんなにしっかり謝らないと・・・それに雪歩にも!!」
音無小鳥
P「だってあの日は・・・雪歩の・・・」
音無小鳥
知っていますよ、雪歩ちゃんの大切な仕事の日、だったんですよね
音無小鳥
P「それじゃあ、仕事は・・・成功したんですか?」
音無小鳥
P...正直、音無さんから、問いの答えを聞くのが怖かった
音無小鳥
いえ・・・雪歩ちゃん、Pさんが倒れて、あの日、仕事は断ったんです
音無小鳥
「Pの傍にいたい」って言う事聞かなくて、暫くはずっと付きっきりだったんですよ
音無小鳥
今は貴音ちゃんがレッスンに連れ出しましたけど、ついさっきまではいたんですから
音無小鳥
P「くっ・・・雪歩にとって、大切な日だったのに・・・おれはなんてことを・・・」
音無小鳥
大丈夫ですよ、状況が状況だったんですから、誰もPさんのことを責めたりなんかしません
音無小鳥
P「で、でも俺は・・・」
音無小鳥
Pさん、顔をあげてください、仕事ならこれからもあるじゃないですか
音無小鳥
それに、雪歩ちゃん、Pさんのこと、とっても心配していたんですからね~
音無小鳥
P「音無さん・・・」
音無小鳥
それに雪歩ちゃんだけじゃなくて、他のみんなも、とっても心配してたんですよ
音無小鳥
それこそ、仕事の合間を縫っては病室に駆けつけて、Pさんに言葉を掛けていたんですから
音無小鳥
それに・・・私も、心配したんですから///!!
音無小鳥
P「俺は幸せ者ですね、同時にプロデューサー失格なのかもしれません」
音無小鳥
Pさん・・・
音無小鳥
P「Pとして、本来ならば、みんながアイドルをやる上で集中できる環境を整えたり」
音無小鳥
P「正しい道に導いてあげる、それが俺の役目じゃないですか・・・」
音無小鳥
P「それなのに俺はこんな状態で、皆に心配をかけて、仕事に集中できなくさせてる・・・」
音無小鳥
P「自分の身体の状態は、まだ担当医の方に聞いていないですけど、なんとなくわかるんです」
音無小鳥
P「これが引き際なのかもしれないって・・・」
音無小鳥
Pさん、Pやめたりしないですよね?
音無小鳥
Pさんは失格なんかじゃないですよ、誰よりも皆の事を真剣に考えてるじゃないですか!
音無小鳥
それこそ、倒れてしまうまで気付かないほどに、皆のことを夢中で考えていたじゃないですか?
音無小鳥
それに、皆も待っていますよ、たとえ時間が掛かったとしても待ってくれるはずです
音無小鳥
そして、傍で励ましてくれるはずですよ!一緒に戦ってくれるはずです!!
音無小鳥
だってあの子達とPさんは、アイドルとPという関係以前に・・・
音無小鳥
苦楽を共にしてきた、765Pの仲間なんですから!
音無小鳥
P「音無さん・・・ブワァ」
音無小鳥
いいんですよ、どんなに泣いても、私は見なかったことにしますから・・・
音無小鳥
P...その日、俺は、子供のように、音無さんの胸の中で泣いた
(台詞数: 50)