四条貴音
と、言うほどだいそれた話でもありませんが。
四条貴音
流石に、あなたにもお話ししておこうかと思いまして。
四条貴音
ええ、勿論美希のことですよ。
四条貴音
最近、何か思い悩んでいたのは皆が気づいていたはずですが……
四条貴音
あ、悲しんでいたのは勿論美希だけではありませんが。美希はいっそう、でした。
四条貴音
きっと、皆にそれを知られたくなかったのでしょう。明るく振る舞っておりましたが……
四条貴音
ええ、見るに堪えませんでした。
四条貴音
美希をとりまく暗い物は、私たち全員が感じ取っていたのです。
四条貴音
そして、それを感じ取っていたのは私たちだけでは無かったということです。
四条貴音
あ、いえ……もしかしたら、もともとの美希の雰囲気が近寄りやすかったのか……
四条貴音
まあ、なんにせよ。普通でない隣人達と邂逅してしまったのです。
四条貴音
……茶化すのはお止しください。私もこの類いは苦手なのです。
四条貴音
……このところ、美希は未知の場所へと踏み込んでしまったり……
四条貴音
もしくは、魅入られてしまったり……
四条貴音
挙げ句の果てに、創りあげてしまったり……
四条貴音
恐ろしい子です。普通でないのはどちらでしょうか。
四条貴音
今は……まだ無事ではいますが。
四条貴音
このままこの状況が続けば、そうもいかないかもしれません。
四条貴音
事実として、一度はとても危うい所まで行きかけたのです。
四条貴音
その時は私が何とか気づけましたが……
四条貴音
……そうです。次は無いかもしれません。
四条貴音
……私は、どうすれば友人を救えるのでしょうか。
四条貴音
……
四条貴音
ええ、そろそろ、本題に入りましょう。
四条貴音
美希が逢ったものには、全て共通している事が二つあります。
四条貴音
……ひとつ目は全てが、美希を呼んでいるのです。
四条貴音
連れて行こうとしている、と言っても良いかもしれません。
四条貴音
いえ、確かに怪奇な現象は大体そうかもしれませんが。
四条貴音
……納得出来ないなら二つ目を。
四条貴音
美希の、身近な所で起きているということです。
四条貴音
……美希の話をしてるのだから当たり前、と言われればそれまでですが。
四条貴音
いえ、でもこれはにゅあんすで理解していただくしかありませんね。
四条貴音
……身近過ぎるのです。いくら美希が惹き付けやすかったとしても。
四条貴音
全てが、美希を知りすぎている……
四条貴音
そして、全てが違いすぎる……
四条貴音
まるで、誰かが描いた連作のように……
四条貴音
ええ、自分でも夢物語だと思います。
四条貴音
ただ、そうでもないと説明がつきません。
四条貴音
私達全員が悲しんでいました。
四条貴音
この描き手は、同じだったのでしょうか。同じく寂しかったのでしょうか。
四条貴音
だから、美希をずっと呼んでいたのでしょうか。
四条貴音
……ですが、ですが分かっているでしょう。美希はここで生きています。
四条貴音
それに、ここで輝くべき存在です。彼女の光は、そこまで届くはずです。ですから……
四条貴音
どうか、どうかそこで静かに見守っていただけませんでしょうか。
四条貴音
……で、なければ。
四条貴音
……
四条貴音
それにしても、良く眠りますね。どうせならもう少し端の方に……
四条貴音
……まあ、仕切り直して。
四条貴音
起こってしまった諸々の奇談。
四条貴音
これにて、終わりに致しましょう。
(台詞数: 50)