箱崎星梨花
……
七尾百合子
……
星井美希
……
星井美希
……ねえ百合子、なんでミキ達、こんな風にコソコソしないといけないの?
七尾百合子
……声を抑えて、美希ちゃん。尾行しているんですから。
星井美希
なんでミキが、百合子に付き合って星梨花を尾行しないといけないの?せっかくお昼寝してたのに。
七尾百合子
私だって、もっと頼りになる相棒が欲しかったですよ。事務所に美希ちゃんしか居なかったからで。
七尾百合子
……美希ちゃんは興味有りませんか?誕生日を迎えた星梨花ちゃんが、何をするのか。
星井美希
ショージキ、あんまり興味無いの。
七尾百合子
『無垢』や『純粋』を具現化したような星梨花ちゃんが、意外な姿を見せるかもしれませんよ!
七尾百合子
「今日は一日、プロデューサーさんと一緒にいたいです」とか言い出す展開が有るのかも……
星井美希
それは聞き逃せないの!百合子、気を抜いちゃダメなの!
七尾百合子
……美希ちゃんの変なスイッチを入れちゃったかも。
箱崎星梨花
……
七尾百合子
……ええと、星梨花ちゃんの家とも、劇場とも違う方角に歩いてるみたいですね。
星井美希
あ、お店に入っていったの。靴屋さん……だね。
箱崎星梨花
……
七尾百合子
男の人用の革靴を買ったみたいですね。
星井美希
百合子……これは大問題なの、分かってるの?
星井美希
ネクタイやセーターと違って、靴なんてジャストサイズでないと使えないの。
星井美希
つまり、星梨花は相手のサイズまで知ってるってこと。もしくは、靴を脱いだ時に覗いたかもなの。
七尾百合子
そんな!……星梨花はプロデューサーさんを家に上げて、おもてなしでもしてるんですか!?
箱崎星梨花
……
星井美希
今度は、セレクトショップっぽいお店に入ったの。あの包みは……ワインのボトル?
七尾百合子
海外では、お水みたいにワインを飲むそうです。まさか星梨花ちゃん、あの年で飲める口なんて……
星井美希
しかもきっと、あんな店で買うんだから特別な一本なの。ハニーと飲み明かすつもり?
箱崎星梨花
……
七尾百合子
今度はスーパーに入りましたね。やっぱり手料理も作るんでしょうか……
星井美希
自分の誕生日に、自分で料理するの?ミキ、そんな面倒なことしたくないの。
箱崎星梨花
……?
七尾百合子
って、美希さん!星梨花ちゃん、スッポン鍋セットを選んでます!!そんな凄いセレクトなんて……
星井美希
もう黙ってられないの!星梨花、ちょっと待つの!!
箱崎星梨花
あ、美希さんと百合子さん、こんにちは。
星井美希
こんにちは、じゃないの!星梨花、いったい今日の誕生日、どう過ごすつもりなの!
七尾百合子
……私、目の前にしても信じられません。星梨花ちゃんとプロデューサーさんが、深い仲なんて。
箱崎星梨花
……なんで、プロデューサーさんが出てくるんですか?
箱崎星梨花
誕生日は、自分を産み育ててくれた両親に感謝する日ですって、学校の先生が教えてくれたんです。
箱崎星梨花
だから、アイドルをしていただいたお金で、パパに靴を贈るんです。
七尾百合子
……自分の親の靴なら、いくらでもサイズ確認できますよね。
星井美希
で、でも、さっきワインを買ってたの……
箱崎星梨花
これですか?ショーウィンドウに素敵な一輪挿しが有ったので、ママにプレゼントするんです。
星井美希
……箱が長細いだけで、全然ワインじゃないの。
七尾百合子
でも!スッポン鍋セットなんて親御さんに振る舞うものじゃないですよ!
箱崎星梨花
ええと……最近庭師さんに、寒い中、うちの手入れをしていただいてて。
箱崎星梨花
なにか温まるものを差し入れたくて。前にパパが、冬はスッポンが一番だって言ってたので。
星井美希
……ミキが言える立場じゃないかもだけど、星梨花、かなりズレてるの。
七尾百合子
星梨花ちゃん、せめてスッポン鍋は止めて、ほかのものをつくったほうが。
箱崎星梨花
そうなんですか?百合子さん美希さん、何がいいか一緒に考えてもらえませんか?
星井美希
……やっぱり星梨花は、裏も表も無い「いい子」なの。ムキになったのが馬鹿みたいって感じ?
七尾百合子
……うう、少しでも疑念を持っていた私の心が、「星梨花スマイル」で浄化されていく気分かも。
(台詞数: 50)