高木社長
「私達は事務所に着くと、音無くんに我那覇さんを預け…別室で話をすることにした。」
高木社長
コーヒー飲むか?インスタントだが。
黒井社長
貰おうか、不味いコーヒーを飲みたいところだった。
高木社長
…相当荒れてるな、私に構うより酷いぞ?
黒井社長
ああ…荒れずして居られないさ。(ぐっ…と差し出した珈琲を飲み干す)
黒井社長
お前のところは「彼女ら」だけだったな。
高木社長
ああ、音無くんが作ってくれた人脈がソレだからな…なんとか持っているよ。
黒井社長
まったく、商売っ気の無さには感心するな…
高木社長
なにがあった?
黒井社長
…クセの悪いAVプロダクションがこちらに侵食して来ている。
高木社長
なんだと?
黒井社長
付き合いのある大手も業界ぐるみで対策をしているようだが…
高木社長
囲い込みには至っていない訳か…
黒井社長
先日、その会社を知らずに…ウチの我那覇にそこから仕事が廻って来てな…
黒井社長
最初は「モデル」を表する依頼で、普通なら安い筈のギャラが相場以上に良かったのさ…
黒井社長
初めての会社の現場が気になったから…挨拶も兼ねて一緒に付いて行ったんだ…だが…
高木社長
……そこで連中の本性が知れたと…
黒井社長
ああ…余りにも非道が過ぎる内容をやらせるつもりのようでな。
黒井社長
仕事を断ると、膨大な手切れ金を迫ってきやがったから小切手を切って引き上げて来たところだ。
高木社長
……では、お前のところでの「彼女」らの活動は出来んな。
黒井社長
ああ…あそこは揺すれば金を出すだろうとな…。
高木社長
どうするんだ?
黒井社長
…移籍させるか。
高木社長
また、安易な…。
黒井社長
それ以外に何がある…。
高木社長
黒井…私のところはどうだ?
黒井社長
あ?
高木社長
もっとも、大した移籍金は払えないがな。
黒井社長
…ふむ。悪く無い話だな。…よし、但し条件がある。
高木社長
なんだ…私を潰す位の移籍金か?
黒井社長
はっ、高木…私はそれほど腹黒くないぞ。
黒井社長
他にウチの「星井」と「四条」をお前にやる。…それが移籍条件だ。
高木社長
ちょっと待て、それでは…
黒井社長
なに、ウチには他に「バカトリオ」がいるからな。
高木社長
黒井…
黒井社長
コレは「譲渡」ではないぞ?あくまで人道的なやむ負えない移籍だ。
高木社長
そうだな…
黒井社長
なに、お前の所の若いのがいい加減な仕事をしてくれれば…
黒井社長
そのうち私の元へ舞い戻る算段だからな。
高木社長
なるほどな…いつもの黒井で安心したよ。
黒井社長
私は元来「善人」では無い…
黒井社長
…せいぜい経費で泣く事だな。
高木社長
ん?…まぁ、上手く雲隠れして見せるさ。
黒井社長
…雲隠れの方が楽かもな。
高木社長
なんか言ったか?
黒井社長
どれ、私は帰る…彼女らの転籍書類は明日中に送るからな。
高木社長
わかった…全力で対応しよう。
黒井社長
ウチの「エース候補」揃いだ…これで一流路線に入り込まなければ、廃業と思え?
高木社長
まったく…闘争心を駆り立てるのが相変わらず上手い奴だ…。
(台詞数: 49)