高木社長
…やあ、君…久し振りだね。
高木社長
このような所に呼ばれて、心穏やかでもないだろうに…来てくれて、感謝するよ。
高木社長
………。
高木社長
………。
高木社長
………。
高木社長
……いろいろ、あったねぇ。
高木社長
…嘗て此処には、色とりどりの花が咲いていた。
高木社長
ある花は笑い。
高木社長
ある花は唄い。
高木社長
ある花は、散り。
高木社長
…もう、どれくらい経つのだろうねぇ。
高木社長
……なぁ、君?
高木社長
花たちは…幸せだっただろうか。
高木社長
終わりも知らされず、永遠に咲くと思い、しかし片(ひら)となった花たちは。
高木社長
栄枯盛衰、諸行無常…そう言ってしまえば美談となり、歴史になるかもしれない。
高木社長
しかし、花たちは、そのようなこと…決して望んでいなかったのだよね。
高木社長
永遠に咲き続ける花でありたい。
高木社長
その望みを、願いを、想いを…。
高木社長
……夢を絶ったのは、どうであれ、私に他ならないのだ。
高木社長
私は、花たちから…憎まれ、妬まれ……呪われるべきだと思わないかい。
高木社長
…時流のせいだ、私のせいではない、か。ははは、君は優しいねぇ。
高木社長
あの頃から、ずっと、変わらないよ…。
高木社長
……あの頃は私もね、永遠を信じて疑わなかった。
高木社長
嘗ての「此処」がそうであったように…紺碧の空を縫い上げ、夢を届け続けられると信じていた。
高木社長
…可笑しいだろう?あの時分でも十分な老体が、白けたロマンチシズムを掲げてな。
高木社長
読んで字の通り、絵空事、だよ。全く…。
高木社長
………。
高木社長
…そうか、それでも尚、君は私を責めない、か……。
高木社長
……なぁ、君は、幸せだったか?
高木社長
花を育み、花を愛で、花を咲かせ…。
高木社長
花を、摘み取った、あの日々を、幸せと思うか……?
高木社長
……そうか。君は、きみは………。
高木社長
……本当に……………だね……。
高木社長
………はは、昔話のし過ぎか、少しくたびれてしまった。座っても…いいかな……?
高木社長
………。
高木社長
……はは、はははは…そうか、これが、背中を預けるという気持ちか…。
高木社長
私が…躍起と旗を振るっていた後ろに…こんな暖かい場所があることを、知らずにいたとは…。
高木社長
………やはり、私は、馬鹿だったんだなあ……。
高木社長
…なぁ、君。少し、眠くなってしまった………。
高木社長
大丈夫……少ししたら……起きる………よ……………。
高木社長
…………………。
高木社長
………すまない……皆、すまなかった………すまな………かった………っ。
高木社長
…………………。
高木社長
…………………。
高木社長
「 」。
(台詞数: 45)