高木社長
P...赤く染まった木々の葉
高木社長
P...葉はまるで、新しい季節の到来を予感させるかのように風に吹かれ
高木社長
P...儚く、そして見事なまでにあっさりと落ちていく
高木社長
P...俺はその様子を、まるで季節外れの案山子の様に、ぼーっと病室から眺めていた
高木社長
P...きっと、外に出れば、あの風に当たって、冷たいと感じることができるのだろうか
高木社長
P...外を歩いているあの人達の様に・・・
高木社長
P...「もうすぐ冬だね」と、愚痴でも笑って零す事ができるのだろう
高木社長
P...いや、俺にはできない
高木社長
P...俺にはあの風に当たって『寒い』なんて感じる事はないだろう
高木社長
P...仮に『寒い』と感じても、更に虚しくなるだけだ
高木社長
P...何故なら・・・
高木社長
P...何故なら・・・俺にはもう・・・
高木社長
P...何故なら・・・俺にはもう・・・わからない
高木社長
P...その寒さが、風によって感じているのか・・・
高木社長
P...それとも、病によるものなのか、区別もできなくなった
高木社長
P...区別が出来なくなった時
高木社長
P...俺の中で・・・
高木社長
P...俺の中で・・・季節は死んだ
高木社長
P...みんなが編んでくれたニット帽が、俺の冷え切った身体に暖をくれる
高木社長
P...それぞれが編んでくれたニット帽は、どれも個性的で、暖かくて・・・
高木社長
P...想いが伝わってきた・・・
高木社長
P...その度に負けてられないと、改めて思う
高木社長
P...まだ負けるわけにはいかないんだと・・・
高木社長
P...ぎゅっと手を握ろうとしても、力がうまく入らない
高木社長
P...きっと、最近増えた変な薬のせいだろう
高木社長
P...皆と記念写真を撮ったあの日から・・・
高木社長
P..."死”を更に強く意識するようになった
高木社長
P...その"死"がいつやってくるかはわからない
高木社長
P...突然やってくるのか、それともじわじわ迫ってくるのか
高木社長
P...自分の身体の事なのに、俺にはわからない
高木社長
P...表には出さずとも、俺は死期が恐ろしくなった
高木社長
P...だから、最近はあまりよく寝付けない
高木社長
P...目を瞑るのが怖い
高木社長
P...一瞬の瞬きですら躊躇してしまう
高木社長
P...その一瞬で世界が、がらりと変わってしまうかもしれない
高木社長
P...ここじゃない他の場所に行ってしまうかもしれない
高木社長
P...そんな気がして怖かった
高木社長
P...眠ったらそのままかもれない・・・
高木社長
P...目が覚めたとしても・・・
高木社長
P...もしかしたら・・・
高木社長
P...もしかしたら・・・
高木社長
P...もしかしたら・・・
高木社長
P...俺は死んでいるのかもしれない
高木社長
P...もうみんなの笑顔が見えなくなっているかもしれない
高木社長
P...そこに、みんなはいないかもしれない・・・
高木社長
P...それが怖かった
高木社長
P...でもなんとなくわかっていた・・・
高木社長
P...四季が死んだってことは・・・
高木社長
P...次はもう、俺の番なのだから・・・
高木社長
_______暗転________
(台詞数: 50)