黒井社長
本拠地、961シアターで迎えた定期ライブ。序盤にミスを連発、後続も勢いを見せず散々だった。
黒井社長
シアターに響くファンのため息、どこからか聞こえる「961プロも終わりだな」の声。
黒井社長
無言で帰り始めるアイドル達の中、961プロ社長・黒井は独り舞台袖で泣いていた。
黒井社長
SPで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より輝けるアイドル。
黒井社長
それを今の961プロで得ることは殆ど不可能と言ってよかった。
黒井社長
「どうすりゃいいんだ…」黒井は悔し涙を流し続けた。
黒井社長
どれくらい経ったろうか、黒井ははっと目覚めた。
黒井社長
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たい舞台袖の床の感覚が現実に引き戻した。
黒井社長
「やれやれ、帰ってアイドルをスカウトしなくちゃな」黒井は苦笑しながら呟いた。
黒井社長
立ち上がって伸びをした時、黒井はふと気付いた。
黒井社長
「なに…?客がいる…?」
黒井社長
舞台袖から飛び出した黒井が目にしたのは、3階席まで埋めつくさんばかりの観客だった。
黒井社長
千切れそうなほどにライトが振られ、地鳴りのようにアンコールの声が響いていた。
黒井社長
どういうことか分からずに呆然とする黒井の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
黒井社長
「社長、アンコールだよ、行ってくるの!」声の方に振り返った黒井は目を疑った。
黒井社長
「ほ…星井美希?」「なんだ社長、居眠りでもしてたのか?」「が…我那覇響?」
黒井社長
「なんだおっさん、かってに俺たちを移籍させやがって。」「天ヶ瀬冬馬…。」
黒井社長
黒井は半分パニックになりながらライブのパンフレットを見た。
黒井社長
出演者:プロジェクト・フェアリー、ジュピター、噂のシークレットアイドル
黒井社長
暫時、唖然としていた黒井だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった。
黒井社長
「勝てる…勝てるんだ!」
黒井社長
ステージへ全力疾走するアイドルを見守る黒井、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった…。
黒井社長
………………………。
黒井社長
翌日、舞台袖で冷たくなっている黒井が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った。
(台詞数: 24)