女子、二人並び立てば 第14話『対極』
BGM
Thank You!『アイドルマスター ミリオンライブ!』テーマソング
脚本家
遠江守(えんしゅう)P
投稿日時
2017-11-28 00:51:03

脚本家コメント
書き次第の更新です。

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四条貴音
わたくしが舞台に上がったその時、目の先には、本来ならばそこにある筈の桃子の姿は見えず。
四条貴音
「ふむ…。」
四条貴音
しかし、すたっふの方々が落ち着いているところを見れば、不測の事態ではないのでしょう。
四条貴音
さて、何を見せていただけるのでしょうか…?
四条貴音
と、桃子のステージに、ぽっかりと奈落が空いたのが見えました。
四条貴音
そこから、まるでおもちゃ箱、或いはとらんぽりんのように人影が飛び出してきて。
四条貴音
見事に着地して大見得を切ったその姿は、勿論、わたくしの待ち望んでいた、らいばるの姿でした。
周防桃子
「みんな、お待たせ!桃子のこと、待ちきれなかったでしょ!?」
四条貴音
先程の『永遠の花』の時とは、打って変わって、明るく、親しみやすい、満面の笑みで。
四条貴音
そして、身に纏う衣装。あれは、確か…。
四条貴音
ふふっ…。成程、お見事です。
四条貴音
勝負勘というより、舞台の上の勘でしょうか。やはり、天才的なものを持っているようです。
周防桃子
貴音さん…。
周防桃子
桃子、やっと貴音さんと同じステージに立つことができたね。
周防桃子
でも、まだ同じ場所に立ったってだけ。これで終わりじゃないよ。
周防桃子
桃子が貴音さんのとなりに立って、はずかしくないように。
周防桃子
貴音さんのライバルだって、桃子が胸を張って、言えるように。
周防桃子
勝ち負けも、今ではどうでもいい。思っていることは、ただ一つ…。
周防桃子
貴音さんを超えて、桃子がこのステージの主役になる!
四条貴音
…桃子の行動は、決して人目を惹くことを狙った、奇矯なものではありませんでした。
四条貴音
対比…こんとらすと、とでも言いましょうか。
四条貴音
桃子が動であれば、わたくしは静。陽であれば陰。
四条貴音
わたくしと対極に立つと示すことで、自分の存在感をくっきりと際立たせたのです。
四条貴音
と、なれば、やはり桃子が用意している歌は…。
四条貴音
ああ…。そこまで、わたくしに合わせてくれるのですね。
如月千早
「それでは、準決勝の第一試合を始めたいと思います。」
四条貴音
如月千早。彼女もまた、その存在感で、わたくしたちの物語に華を添えました。
四条貴音
彼女がこの最後のステージに司会として立つのも、運命的なものを感じます。
如月千早
「桃子。貴音さん。一回戦と同じように、まずはフェスを選ぶかどうか決めてください。」
四条貴音
その問いに、わたくしたちは同じ答えを返しました。
周防桃子
「ううん。フェスは選ばないよ。」
四条貴音
「わたくしもです。ここは、らいぶばとるを選びたいと思います。」
四条貴音
敵を叩くには、実力の差が出るふぇすはうってつけなのでしょうが…。
四条貴音
これから行うのは、わたくしと桃子の意志の表現と、その交感なのです。
周防桃子
…いつかみたいにコイントスをして、桃子が先に歌うことに決まった。
周防桃子
桃子が先攻ってことで、スタッフさんたちがあわただしく桃子のまわりを動き回る。
周防桃子
今から歌うのは、新曲の『ローリング△さんかく』…じゃない。
周防桃子
それよりも、もっとふさわしい曲を、桃子は持っている。
周防桃子
ずっと考えてきたんだ。どうすれば、貴音さんと対等のパフォーマンスができるかって。
周防桃子
ボーカルも、ダンスも、ビジュアルも、くやしいけど、全部貴音さんの方が桃子よりは上。
周防桃子
だけど、考えているうちに、貴音さんにもできないことがあるって気付いた。
周防桃子
ファンを、会場全体を巻き込んで作り出す、そんな歌が…貴音さんにはなくて、桃子にはある。
周防桃子
…うん、用意ができたみたいだね。
周防桃子
桃子はステージを飛び出して、ドーム全体をぐるりと回るゴンドラに、乗り込んだ。
周防桃子
この歌に、このステージは小さすぎる。
周防桃子
ぴんと背を伸ばしたきれいな立ち姿で、笑って桃子を見送る貴音さんに、桃子も笑顔を返した。
周防桃子
これは、桃子と貴音さんの始まりの歌。そして、この最高の舞台で歌う、最後の歌。
周防桃子
見ていてね、貴音さん。そして、期待してて。
周防桃子
その心に、だれよりも強く、焼きつけるから!
周防桃子
「…いくよ!『MY STYLE! OUR STYLE!!!!』!」

(台詞数: 50)