二階堂千鶴
さてと。今日の整理当番、面子を考えたら安心していいですわね、まずは…
水瀬伊織
見てみて千鶴!こんなのも出てきたわよ、懐かしいから着てみたわ!
二階堂千鶴
ちょっと。何やってますの、遊んじゃいけませんわ。早く片付けないと。
水瀬伊織
少しならいいじゃない、ちゃんとお掃除用のカッコ選んでるでしょ。
二階堂千鶴
馬鹿な事してないでさっさと着替えてきなさい。ほら、エプロンとマスク。あと軍手も。
水瀬伊織
何よ、ノリ悪いわね。せっかくこんな所に入れたってのに。
二階堂千鶴
全くもう。伊織はこういうの率先してテキパキ動く人間だと思ってましたわ。
三浦あずさ
千鶴ちゃんの前だからでしょうね。自分よりしっかりしてる人がいるって分かってるから出来るの。
二階堂千鶴
あら。まあそういう事であれば仕方ありませんわね、セレブも大変ですわ…
二階堂千鶴
ってあずさ、あなたまでどうしたんですのその恰好は!?
三浦あずさ
言ったでしょ、信頼してるからこそよ。
二階堂千鶴
もう、ウイッグまで付けて。どこが少しだけなんですのよ。
水瀬伊織
あら。へえ、あったわねそんなの。長髪のあずさは久しぶりに見たから逆に新鮮だったわ。
三浦あずさ
マイティーセーラーの時もやったけど、自分でもちょっと懐かしい気持ちになったわ。
水瀬伊織
時代劇風の衣装なら私も新選組でやったわね、あれは楽しかったわ。
二階堂千鶴
羨ましかったですわ、わたくしもコロちゃんと刀を振り回したかったのに。
三浦あずさ
それは来年以降のお楽しみね。
水瀬伊織
来年、か…。
水瀬伊織
ねえ。この山のような衣装と小道具、全部は新しい劇場には持ってかないのよね?
二階堂千鶴
スペースの問題上無理でしょうね。どこかの倉庫をレンタルして、収めるそうですけど。
水瀬伊織
わざわざそんな事する必要あったのかしら。ここだって、まだまだ使えるはずなのに。
三浦あずさ
伊織ちゃん。ちゃんと説明されたでしょ?ここは借地で、契約の更新が出来ないから…
水瀬伊織
分かってる、理解してるわよ。移転するだけの理由はちゃんとあるんだって。
水瀬伊織
でも。私はここにいたかったわ。ここでアイドルやって、お仕事が終わればここに帰って来て。
水瀬伊織
いつか、私がアイドルを辞める日まで、そんな日々がずっと続く。そう思ってたのよ。
三浦あずさ
…ここが無くなっても、誰もいなくならないわ。私達は皆と、これからも一緒よ。
水瀬伊織
ええ、それも分かってる。私達の居場所はちゃんとあるのよね。だけど…
二階堂千鶴
…
水瀬伊織
ねえ。これで本当に良かったの?ここを離れる事は、私達に本当に必要な事だったの?
二階堂千鶴
…分かりませんわ、そんな事。今は誰にも答えられないでしょうね。
水瀬伊織
何よそれ!ここまでしておいて、そんな曖昧な返事ある?だったらどうして…
二階堂千鶴
だから、今から見つけにいくのですわ。新しい劇場と、新しい世界でね。
二階堂千鶴
それがこの劇場で育ったわたくし達の責任ですわ。そうでしょう?
水瀬伊織
…そうね。今は、そうするしかないのよね。
二階堂千鶴
忙しくなりますわよ?新しい劇場にこれまでの物を運んで、新しい物もどんどん増えるのですから。
三浦あずさ
文字通りの師走になりそうね〜。毎年言ってる気もするけど。
水瀬伊織
ほんと、ウチは行き当たりばったりね。これじゃ悲しむ暇も出来そうにないわ。
二階堂千鶴
それじゃ、さっさと取り掛かるとしますか。二人とも着替えてらっしゃい?
水瀬伊織
はいはい。あ、ねえあずさ。その前に記念写真撮らない?
三浦あずさ
良いわね。なら、千鶴ちゃんにも何か着てもらおうかしら?
二階堂千鶴
こら!
水瀬伊織
冗談だってば。それじゃちょっと待っててね。
二階堂千鶴
もう。普段はリーダーぶるくせに、わたくしといるといつもああなんですから。
二階堂千鶴
…
二階堂千鶴
ありがとうもさよならも、今は言う気になれませんわ。まだ気持ちの整理がついてませんもの。
二階堂千鶴
だから、この言葉だけ。ずっと支えてくれたあなたに、この言葉がふさわしいとも思いませんけど。
二階堂千鶴
…
二階堂千鶴
ごめんなさい。
(台詞数: 48)