事実は小説のようには締まらない
BGM
空想文学少女
脚本家
遠江守(えんしゅう)P
投稿日時
2017-11-29 00:37:30

コメントを残す
七尾百合子
はぁ…はぁ…はぁ…。
七尾百合子
こんな大きな会場で、ソロライブなんて…。
七尾百合子
何曲歌ったのかも覚えてないですし、疲れきってもう立っていられないくらいです…。
七尾百合子
だけど…。
七尾百合子
やった…やりました!最後まで、やりとげました!
七尾百合子
聞いてください、プロデューサーさん!ファンの人たちの、あの歓声を!
七尾百合子
百合子、百合子って、何度も私の名前を呼んでくれて…。
七尾百合子
…嬉しい。本当に、嬉しいです。
七尾百合子
図書室に篭っていた頃の私は、こんな素晴らしい光景は、物語の中にしかないって、思ってました。
七尾百合子
でも、今、私が感じているのは、現実です。
七尾百合子
身体が震えるような感動も、涙が出てしまうような嬉しさも…。
七尾百合子
ありがとうございます、プロデューサーさん。
七尾百合子
こんな気持ちになれたのも、プロデューサーさんが、私を本の世界から連れ出してくれたから…。
七尾百合子
物語を現実にすることだってできるよって、教えてくれたからです。
七尾百合子
それが本当だってわかった今、私のアイドルとしての目標も、見えてきました。
七尾百合子
私、本の中で見てきた想いを、形にしてみんなに届けたいって思うんです。
七尾百合子
そして、本を愛する人が、夢や感動を実現する、その道標になれたらって…。
七尾百合子
ですから、これからもよろしくお願いしますね、プロデューサーさん。
七尾百合子
私も、もっともっと、素晴らしい事を現実にできるように、頑張りますから…。
七尾百合子
……。
七尾百合子
あの…それで、ですね…。
七尾百合子
もしかしたら、燃え上がるような恋とか、とろけるような甘い恋も…現実になったりしませんかね?
七尾百合子
……。
七尾百合子
(ボスッ!)
七尾百合子
あいたっ!何するんですか!?
七尾百合子
本は叩くものじゃないですよ!読むものですから!
七尾百合子
…えっ?本?これ、プレゼントですか?ご褒美?
七尾百合子
ありがとうございます!何の本かな?楽しみだなあ…。
七尾百合子
私、この本に書いてあることも現実にできるように…
七尾百合子
…頑張り、ます…ね…。
七尾百合子
…って、この本は…ええと、その…。
七尾百合子
あの、やっぱり、今のはなしで。いくら私でも、流石にこれは…。
七尾百合子
…ホラーとサスペンスは、現実にしたくないです!
七尾百合子
っていうか、おかしいですよね!?
七尾百合子
この雰囲気で渡す本が、これですか!?普通は、ロマンチックに詩集とか渡したりしません!?
七尾百合子
確かに、これ、読んでみたいって言ってましたけど!自分でもしっかり覚えてますけど!
七尾百合子
ああ…!もう、どうして恋愛小説のように、うまくいってくれないんですか!?
七尾百合子
…俺が悪いのかって?そんなの、決まってるじゃないですか!
七尾百合子
悪いですよ!タイミングが!

(台詞数: 39)