矢吹可奈
…本当にお城が崖にめり込んでる…すごーい!
如月千早
狭い谷間に造るための工夫ね…凄い発想だわ
矢吹可奈
《チハヤちゃんの聞いて来た情報に従い、私達はキャスパリグ王城の前にやって来た》
矢吹可奈
《大きな門と柱を備えた立派な城門が崖にすっぽり嵌まっている》
如月千早
…来たは良いけど、どうやって入れば良いのかしら…押し入ったり忍び込むわけにも行かないし…
矢吹可奈
うーん…素直に門番さんにメディカルベル見せてみる?
矢吹可奈
《城門の前で話し合っていると、何人かの兵隊を連れた女の子が、私達の来た道から現れた》
松田亜利沙
むむ…?ちょっと貴女達、何をしているんですか?ここはキャスパリグ王城の前ですよ?
松田亜利沙
…!?って、か…可愛い…!
如月千早
え?
矢吹可奈
はい?
松田亜利沙
じゅるり…おっといけないお務めお務め…オッホン!もう一度聞きます、何をしているんですか?
矢吹可奈
《一瞬物凄くだらしない顔をした女の子だったけど、頭を振って表情を引き締める》
松田亜利沙
事と次第によっては、この獣牙近衛兵団団長たるアリサがタダじゃおきませんよ!
如月千早
ええっと…
矢吹可奈
あのう…私達、これの持ち主の人に会いたいんですけど…知りませんか?
矢吹可奈
《そう言って、私はアリサと名乗った女の子にメディカルベルを見せる》
松田亜利沙
おや?これは………メディカルベル!?
松田亜利沙
し、失礼しました!
矢吹可奈
《メディカルベルを見た瞬間、アリサさんは一歩下がって頭を下げる》
松田亜利沙
お話は伺っています、早速城内へご案内致します!どうぞどうぞ!
如月千早
…どういう事なのかしら?
矢吹可奈
うーん…とりあえず中に入れるみたいだし、良いんじゃないかな?
如月千早
…それもそうね、行きましょうカナ
矢吹可奈
うん!
矢吹可奈
《アリサさんに着いて城に入ると、中はかなり広い》
松田亜利沙
驚いたでしょう?渓谷西側の壁を、入り口からどんどん広がるように掘って城を造ったんです!
松田亜利沙
上も横も全部崖の中なので、正面の城門以外からは侵入出来ない、守りに適した造りなんですよ♪
如月千早
確かにこれは堅固そうですね…私達では考えられないお城です
矢吹可奈
あっ…人間の兵隊さんもいるんですね!
矢吹可奈
《見回りらしい2人組…人間とワーウルフが、楽しそうに話しながら横を通り過ぎてゆく》
松田亜利沙
はい、今の女王陛下は、種族の差別がお嫌いなんです
松田亜利沙
実を言うと、先代までは獣人…特に純血贔屓が酷くて、人間は城に近付く事も出来なくて…
松田亜利沙
それどころか、アリサみたいな他種族との混血も一段下に見られていたんです
松田亜利沙
でも、先代が無くなり、今の陛下が跡を継ぐと、それまでとまったく逆の政策を主体としました
松田亜利沙
もちろん一部の貴族などからの反発もありましたが…
松田亜利沙
陛下はそれを排除したりせず、丁寧に時間を掛けてご自分の考えを伝え、どうにか納得に漕ぎ着けた
松田亜利沙
…と、言うわけなんです!凄いでしょう?むふふ…♪
矢吹可奈
《アリサさんは、女王様の偉業を本当に嬉しそうに語る。その笑顔を見ると、私まで嬉しくなる》
松田亜利沙
…っと、着きました!少々お待ちを
矢吹可奈
《ちょうど話が終わる頃、一際大きな扉の前に立ったアリサさんは、会釈をして中に入って行く》
松田亜利沙
陛下!お見えになりました!
松田亜利沙
……………
松田亜利沙
へ、陛下!?お待ちを!私達が開けますから!陛下ー!
如月千早
…?なんだか騒がしいわね…
矢吹可奈
うん…何かあったのかな?
矢吹可奈
《私達が部屋の中の騒ぎに首を傾げていると、突然勢い良く扉が開け放たれた!》
(台詞数: 47)