Your hospitality
BGM
GREEDY GIRL
脚本家
遠江守(えんしゅう)P
投稿日時
2017-12-09 22:36:44

コメントを残す
秋月律子
亜利沙!何処にいるの、亜利沙ー!
松田亜利沙
……。
秋月律子
…探したわよ。こんな所にいたのね。
秋月律子
演出家の先生が、生意気な口を利くアイドルがいるって、カンカンに怒っててね。
秋月律子
聞いてみれば、まさかの亜利沙だっていうじゃない。
秋月律子
…で、何があったの?話してみて。
松田亜利沙
…り、律子センパイ…。怒らないんですか…?
秋月律子
あなたは悪ノリが過ぎるときもあるけど、基本的にお仕事は真面目にやる子だもの。
秋月律子
理由があるのよね?怒るかどうかは、それを聞いてからにするわ。
松田亜利沙
……。
松田亜利沙
じゃあ、ありさのいるところまで来て、ステージの方を見てくれますか…?
秋月律子
…そこに行けばいいのね?
秋月律子
って、眩しっ!?これは…照明が目つぶしになって、ステージが見えないじゃないの…!
秋月律子
亜利沙…。あなたが演出家の先生に言ったのは、これのこと?
松田亜利沙
…はい。あの照明のせいで、この辺りの席の人が、ほとんどステージを見ることができないって…。
秋月律子
そうね…。たしか、ライブ中は点けっぱなしのはずだから、ここの人はちょっとしんどいかもね。
秋月律子
でも、これだけ大きい会場なら、席のあたりはずれなんて、いくらでも出てくるものよ?
秋月律子
ライブってそんなものだっていうのは、亜利沙だってよく解ってるはずじゃない。
松田亜利沙
…はい。わかってます。わかってるって…そう思ってました。
松田亜利沙
でも、照明のことを先生に伝えて、「そんなもの、ある程度は仕方ない」って言われたとき…。
松田亜利沙
チケットの抽選に外れたときのくやしさとか、当たったときのうれしさとか!
松田亜利沙
みんな、期待とか不安とか、ワクワクとか、一人一人持ってるのに、それを「ある程度」だなんて!
松田亜利沙
それで、ありさ、どうしても、黙っていられなくて…!
秋月律子
……。
秋月律子
…ねえ、亜利沙。
秋月律子
あの照明だって、演出家の先生が構成やらバランスやら考えて、手間暇かけて決めたものよ。
秋月律子
ごく一部の人のために、何とかしろなんて、それこそ全体に迷惑をかけてしまうわ。
秋月律子
陳腐な言い方だけど、お客様は神様、っていうのは間違いなのよ。
松田亜利沙
…はい。
秋月律子
…だからと言って、最低限のサービスを提供すれば、お金を落としてくれるシステムでもない。
秋月律子
お客様は神様じゃないけど…やっぱり一人の、同じ人間なのよね。
松田亜利沙
…律子センパイ?
秋月律子
まあ、考えてみましょう。無理のない程度で、何とかできないかを。
秋月律子
勿論、私たちアイドルだけじゃなくて、プロデューサーや演出家の先生も交えてね。
松田亜利沙
えっ…?
秋月律子
できるだけ多くの人に楽しんでもらいたいっていうのは、間違いじゃないわ。
秋月律子
私は、あなたのその言葉が正しいって…少なくとも、一理あるって認めたもの。
秋月律子
問題があるって知っているのに、改善しようとしないのは、知恵があるとは言えない。
秋月律子
面倒事を恐れて、正しいって思っていることに口を閉ざすのは、度胸があるとは言えないわ。
秋月律子
私は、知恵と度胸が売りの秋月律子よ。どうして、それを見過すことができるっていうの?
秋月律子
私にも手伝わせて。もう一度、想いを伝えましょう。言葉が足りない部分は、私がカバーするから。
松田亜利沙
律子センパイ…!
秋月律子
…私も、ライブを見に行ってたときは、自分ならこうするとか、色々と立派なこと考えてたのにね。
秋月律子
ふふっ…。いざ、お客さんに見せる方に回ったら、そんなのすっかり忘れちゃってて…。
秋月律子
…亜利沙。あなたには、思いやりと勇気があるのね。
秋月律子
大人の人に意見するの、怖かったでしょう。よく頑張ったわね。
松田亜利沙
そ、そんな…!ありさは、ただ思ったことを…。
松田亜利沙
あ、あの!ありがとうございます!律子センパイ!
秋月律子
ううん、いいのよ…。
秋月律子
…こちらこそ、ありがとね。亜利沙。

(台詞数: 50)