北上麗花
私は…亜美ちゃんの家族を殺した犯人を作り出した…諸悪の根源、だよ。
双海亜美
…っ。それ、どういうこと…?
北上麗花
亜美ちゃんは、私がロケット団と関係があるんじゃないかって言ってたよね。
北上麗花
私は、ロケット団の元団員…研究員だったの。
北上麗花
いつも一緒に暮らしてた亜美ちゃんなら分かると思うけど、私って世間の常識に疎いでしょ?
北上麗花
あの頃の私にとっては、ロケット団で研究を続けることだけが世界のすべてだった。
北上麗花
知識は…知識だけしかなかった私は、当時の総帥の甘言を信じ切って…。
北上麗花
私の研究と実験が、世界に大いに役立つとばかり思ってた。
北上麗花
確かに、世界には役に立ったよ。ロケット団っていう小さなくくりの世界だけにとって、ね。
双海亜美
…まってよ。それだけじゃ、諸悪の根源がどうのこうのって話にならないっしょ?
野々原茜
…研究を続けていたある日、麗花ちゃんはとんでもない化け物を作り出しちゃったんだよ。
双海亜美
…茜ちん?
野々原茜
話に割り込んじゃってごめんね。でも、これは茜ちゃんにも関係する話だから。
野々原茜
茜ちゃんが採取した、とあるポケモンの遺伝子を、麗花ちゃんが解析してね。
野々原茜
そこから、どんどん遺伝子を組み替えていったの。その結果、とあるポケモンが生まれたんだよ。
北上麗花
そのポケモンは、とても凶悪な性格と凶暴な力を持ったポケモンだった。
北上麗花
ひとたび外に放つと、自分以外のすべてを破壊する…破壊の化身なんて呼ばれてたっけ。
北上麗花
当時の総帥ですら制御するのは一苦労だったみたい。命令できた人は一人いたかいないか…。
双海亜美
……。
北上麗花
総帥は力試しなんて言ってたかな。最初は団員の手持ちのポケモンが相手だった。
北上麗花
本当に、跡形もないぐらいに全てのポケモンをひねりつぶしてた。それだけじゃ終わらなくって。
双海亜美
……まさか。
北上麗花
適当な街を一つ潰させた、って言ってた。それが、亜美ちゃんが生まれ育った街。
双海亜美
っ……!!
北上麗花
私がとんでもないことをしでかしたことに気づいたのは、全てが終わった後だった。
北上麗花
崩壊した街の映像を見て、自分の愚かさ加減にようやく気付いたの。
北上麗花
それからは…自分でもあんまり覚えてないや。確か、厳重に拘束されてたそのポケモンを解放して。
野々原茜
ロケット団のアジトをそのポケモンが全壊させたんだよね。何人、崩落に巻き込まれたのやら。
双海亜美
ねえ、さっきから気になったんだけど、茜ちんはどうしてそんなに事情に詳しいわけ?
野々原茜
…それは、茜ちゃんも団員だったからだよ。麗花ちゃんの同僚だったの。
双海亜美
え…?
野々原茜
そのポケモンを放つ瞬間、麗花ちゃんと一緒にいたからね。茜ちゃんはよく覚えてるよ。
野々原茜
アジトの崩落で総帥を含んだ何十人もが消息不明。これが、ロケット団が解散した原因だよ。
北上麗花
ロケット団が解散したあと、私と茜ちゃんはしばらく各地を放浪し続けてたの。
北上麗花
自分がこれから何をすればいいのか分からなかったから。そんな時、亜美ちゃんと出会ったんだよ。
双海亜美
亜美と…?
北上麗花
うん。私のせいで、孤児院にいた、まるで死人のような顔で日々を過ごしてた亜美ちゃんを。
北上麗花
罪滅ぼしだったのかもしれないし、勝手にシンパシーを感じたのかもしれないけど。
北上麗花
私は、亜美ちゃんと一緒に過ごすことを選んだの。
北上麗花
後は、亜美ちゃんの知ってる通り。これが、亜美ちゃんに話してない事の全部だよ。
双海亜美
……。
野々原茜
…亜美ちゃん?
双海亜美
頭がこんがらがって、どんな顔してるのか自分でも分かんなくなってる…。
双海亜美
二人も、どんな顔で見ればいいか分かんないや。ごめんね、ちょっと外で空気吸ってくる。
(台詞数: 44)