矢吹可奈
《キャスパリグを北に抜けた私達は、途中の街道で休憩を取っていた》
矢吹可奈
はあ～…道端には綺麗なお花…空はとっても青くて…なにより…
如月千早
「♪蒼い鳥…もし幸せ近くにあっても」
矢吹可奈
チハヤちゃんの…歌!幸せ～…
如月千早
…ふう…
矢吹可奈
今日もとっても素敵な歌声だったよチハヤちゃん!
如月千早
ありがとう。ふふ、ウミさんにもらった水を飲むと、喉の調子も良くなる気分だわ
矢吹可奈
《私が拍手を送ると、チハヤちゃんは恥ずかしそうに、でも嬉しそうにはにかむ》
矢吹可奈
《初めてあの洞窟で出会った時からは想像も出来ない明るい表情…》
矢吹可奈
《歌声も笑顔も素敵なチハヤちゃんを見ると、やっぱり一緒に旅に出て良かったなと思う》
如月千早
……………
如月千早
…あのねカナ
矢吹可奈
…?どうしたのチハヤちゃん?
如月千早
…カナには隠し事をしたくないから話すけど…誰にも言わないでね?
矢吹可奈
?うん…
如月千早
実は、いつも歌っている歌の他に…もう1つ、幼い頃に母様から教えられた歌があるの
矢吹可奈
えっ!?本当!?聞いてみたい!
如月千早
…それは出来ない…母様が私にこの歌を教えた時に、こう言ったの
如月千早
「この歌は、必要な時が来た時にだけ歌う事…それ以外では決して世に出してはならない」…と
矢吹可奈
必要な時…?
如月千早
でも、歌が必要な時と言うのが、全然わからなくて…カナはどう思う?
矢吹可奈
《歌が必要な時…いったいどういう意味なんだろう?》
矢吹可奈
うーん…戦争続きで皆の心が荒んじゃった時とか?綺麗な歌は心まで綺麗にしてくれるし…
如月千早
そう…なのかしら?
矢吹可奈
チヅルさんは、教えてくれなかったの?
如月千早
ええ。「必要な時が来たら、嫌でもわかる」…らしいけど
如月千早
歌を教えられた時から、ずっと考えていたの…でも、答えが全然見えなくて…
如月千早
うーん……………………あ
矢吹可奈
《チハヤちゃんが何か思い出したように、顔を上げる》
如月千早
そう…そうだわ…確か、こうも言っていた…
如月千早
「この歌を歌う時とは、すなわち世界が滅亡の危機にあるという事」
如月千早
「その時が来たら、世界を救えるのは貴女だけかもしれない…この歌を忘れてはならない…」
矢吹可奈
《世界滅亡の危機…その穏やかでない言葉に、私もチハヤちゃんも寒気を感じた》
矢吹可奈
うう…なんだか怖い話になって来たね…
如月千早
ええ…とても漠然としてるのに、妙な現実味があるような…
如月千早
それに、「貴女だけかもしれない」と言う部分も、今にして思えば不思議だわ…
如月千早
マーメイドも歌に縁のある種族ではあるけど、歴史上、そんな大それた事には関わってないはず…
矢吹可奈
《疑問が湧き出る度に私達の頭の中には疑問符が増え、私達は2人で同じ方向に首を傾げる》
如月千早
…なんだか、頭がこんがらがって来ちゃったわね
矢吹可奈
えへへ…そうだね
如月千早
…ちょっと子供の頃からの悩みを聞いて欲しかっただけなの
如月千早
結局答えも出なかったし、なんだか、無意味に頭を使わせちゃったみたいで…ごめんねカナ…
矢吹可奈
えへっ、気にしないでチハヤちゃん♪チハヤちゃんの昔の事をちょっと聞けて嬉しかったよ♪
如月千早
…ありがとう。…そうだわ、帰ったら、2人でもう一度母様に聞きに言ってみましょう
矢吹可奈
そうだね!今ならもしかしたら教えてくれるかも!
如月千早
ふふ…そうと決まれば…
矢吹可奈
うん!早く氷の巫女様に会って、シルヴァーナを救って…そしてチハヤちゃんの夢を叶えて!
如月千早
そして2人で帰りましょう、母様やシホさんの所に
矢吹可奈
えへへ…シホちゃん心配性だからなぁ…
矢吹可奈
(シホちゃん…今頃何してるかなぁ…)
(台詞数: 50)