萩原雪歩
今日は12月24日、クリスマスイブにして私の誕生日。
萩原雪歩
今日はいつもよりも、ちょっぴり素敵なことがあるのかも、なんて思いながら清々しく目が覚めて。
萩原雪歩
真っ先に視界に飛び込んだのは…。
萩原雪歩
私よりも大きくて真っ赤な靴下に、簀巻き状態で無理やり詰め込まれていたプロデューサーでした。
萩原雪歩
唯一見える首から上は、何やら壮絶な争いがあってみたいで、髪は乱れていて。
萩原雪歩
その顔には、今まで見たことのないような疲労感と、全てを悟ったような瞳がありました。
萩原雪歩
諦めの境地に達しているプロデューサーをまじまじとみつめたあと、私が選んだ行動は。
萩原雪歩
「……おやすみなさい」
萩原雪歩
私の体温が残ってまだまだ温かいお布団にもう一度潜り込むことでした。
萩原雪歩
――――――――――。
萩原雪歩
「……って、プロデューサー!いったいどうしてこんな姿になってるんですかぁ!?」
萩原雪歩
流石に二度寝は出来ません。だって、あのプロデューサーがすすり泣く声が聞こえましたから。
萩原雪歩
誰が一体こんな酷い事をしたのでしょうか。謎が謎を呼んでいる状況です。
萩原雪歩
きっと、百合子ちゃんなら嬉々として推理しようとするんでしょうね。
萩原雪歩
あ、推理と言えば現在劇場でTHE@TER BOOST!開催中です!
萩原雪歩
皆さんの投票、どしどしお待ちしておりますぅ!!
萩原雪歩
……またもや現実逃避をしてしまいました。うぅ、こんな逃げ腰な私は穴掘って埋まってますぅ!!
萩原雪歩
……何ですか、プロデューサー。え?穴掘る前に自分を助けてほしい?
萩原雪歩
「ご、ごめんなさいプロデューサー!今すぐにほどきますね!!」
萩原雪歩
プロデューサーをギチギチのガチガチに縛りつけているロープの結び目と格闘すること数十分。
萩原雪歩
何とかほどき終えた私とプロデューサーは、向かい合う形で座って状況確認中です。
萩原雪歩
「えっと、つまりプロデューサーは昨日、仕事が終わって帰ろうとした瞬間…」
萩原雪歩
「屈強な男の人たちに囲まれて、抵抗したけど簀巻きにされてそのまま黒塗りの高級車に…」
萩原雪歩
「気が付いたら真っ赤な靴下に体を詰め込まれて、私の部屋にそっと安置されてたんですね」
萩原雪歩
……多分、その男の人たちはうちのお弟子さんですぅ。ごめんなさい、プロデューサー。
萩原雪歩
さらわれた瞬間を思い出したのか、恐怖で震えているプロデューサーに温かいお茶を出します。
萩原雪歩
と、犯人が分かったところで次の問題。なぜ、お弟子さんたちはプロデューサーを拉致したのか。
萩原雪歩
私が大切に思っている人に、無為に乱暴を働くとは思えないので何か理由があると思いますけど…。
萩原雪歩
お父さんの指示、と真っ先に思いましたけど、そんなことをする意味がない気がします。
萩原雪歩
というかお父さんなら、そんなまだるっこしいことなんてせずに直接呼び出すような…。
萩原雪歩
似たような理由でお母さん説もなくなりました。
萩原雪歩
……どうしましょう、犯人と思われる選択肢が全て無くなってしまいました。
萩原雪歩
わざわざ私の家にプロデューサーを連れてくるよう、お弟子さんにお願いができる人…。
萩原雪歩
劇場のみんなだったら、それこそ劇場で何かするとしか思えないですし……。
萩原雪歩
……そういえば。私はとんでもないことを思い出した気がします。
萩原雪歩
『誕生日は、ほんの少しでいいからプロデューサーといっしょに過ごす時間ができたらいいなぁ…』
萩原雪歩
『なんて、お弟子さんに言ってもどうしようもないですよね。ごめんなさい、えへへ…っ』
萩原雪歩
お仕事から帰る途中、偶然一緒になったお弟子さんとお話してるときにぽつりと呟いた一言。
萩原雪歩
たぶんお弟子さんが、私の言葉を大切に拾い上げて、仲間を募って遂行してくれたんだと思います。
萩原雪歩
件のお弟子さんには後でありがとうとごめんなさいを伝えるとして…。
萩原雪歩
「プロデューサー、とりあえず一緒に朝ごはん、食べませんか?」
萩原雪歩
「お母さんの手料理、とっても美味しいんですよ♪」
(台詞数: 42)