矢吹可奈
ふう…ふう…結構奥まで続いてるね…
如月千早
ふう…しかも少しずつ下ってるみたい…暑くなって来たわ…
矢吹可奈
《チハヤちゃんは、ウミさんに貰った水を飲み、水分と水の魔力を補給する》
矢吹可奈
…無理しないでねチハヤちゃん?
如月千早
ええ、わかってる…あ、カナあれ!
矢吹可奈
《チハヤちゃんが指差す方を見ると、広い空間にレンガで出来た家があった》
矢吹可奈
…他に道も無いみたいだし、きっとここが炎の巫女様の家だね!ごめんくださーい!
矢吹可奈
《玄関の前に立って扉をノックする。…しかし返事が無かった》
如月千早
…もしかして留守なのかしら?
矢吹可奈
そ、そんなぁ~…
ジュリア
…お?こんなとこに客とは珍しいな
如月千早
っ!
矢吹可奈
《背後から聞こえた声に振り向くと、赤い髪の女の人が立っていた》
ジュリア
わざわざこんなとこまで来たって事は、あたしに用があるんだろ?
ジュリア
ちょいと近くの火山に調査に行っててな…悪い悪い
如月千早
では、もしかして貴女が炎の巫女様ですか?
ジュリア
ああ、あたしが今の炎の巫女を務めてるジュリアだ
ジュリア
立ち話もなんだし、入りな、あんたらにはここは暑いだろ?
矢吹可奈
《そう言うと、ジュリアさんは家の鍵を開けて中に手招きする》
ジュリア
何も無いとこで悪いな。えっと…あったあった、ほら
矢吹可奈
わひゃっ!?こ、これは?
矢吹可奈
《椅子に座った私達にジュリアさんが渡して来たのは、ひんやりとした掌大のボールだった》
ジュリア
アイスボール。氷の巫女が氷の魔力を閉じ込めた球で、ルオヤン帝国でよく配ってるらしい
ジュリア
ま、炎を司るあたしとの相性はイマイチなんだが、ここに来た客用に保管してるのさ
矢吹可奈
《最初に見た時はちょっと怖そうな人だと思ったけど、実際は気配りの出来る良い人のようだ》
如月千早
…それでジュリアさん。今日お伺いした理由なのですが…実は…
矢吹可奈
《アイスボールのおかげで暑さから解放された所で、チハヤちゃんが本題に入る》
ジュリア
…ちっ、とうとう本格的に動きやがったか…
矢吹可奈
え、じゃあ、ジュリアさんはこの事件について…
ジュリア
ある程度は掴んでた。ただ、肝心の犯人の正体や構成員、本拠地なんかは尻尾を出さなくてな…
ジュリア
主な襲撃対象だった集落の警備強化をこの国の女王に進言したのもあたしだ
ジュリア
…しかし、まさかチマチマした襲撃をやめて、大規模な侵攻に出るとは予想外だったぜ…
ジュリア
…ま、それはともかくとして、光の巫女への対抗策として、他の巫女と共に協力しろって事だよな?
矢吹可奈
はい…ど、どうでしょう?
矢吹可奈
《私が恐る恐る返事を聞こうとすると、ジュリアさんは速答する》
ジュリア
どうもこうも無いね。同じ巫女として、光の巫女の過剰介入は無視出来ねえ
ジュリア
へへ、ちょいとお灸を据えてやるさ!
如月千早
!…ありがとうございます!
矢吹可奈
ありがとうございます!…それでその…一度べリア王国にある水の巫女様の所に集まって…
矢吹可奈
他の巫女様達の集合を待つ事になるんですけど…良いですか?
ジュリア
…水…か…
矢吹可奈
《私の言葉を聞いたジュリアさんの顔が、暗くなる。何か失礼な事を言っただろうか?》
如月千早
ジュリアさん?
ジュリア
…あ、悪い悪い。了解したよ、べリア王国の水の巫女んとこだな
如月千早
…水の巫女様と何か?
ジュリア
…いや、今の水の巫女が誰なのかは知らねえんだが…
ジュリア
ちょっとな…水の使い手ってのには、苦い思い出があるんだよ…昔の親友なんだがな…
如月千早
(…!…カナ…)
矢吹可奈
(うん…たぶん私も同じ事考えた…)
如月千早
(もしそうだとしたら…私達が取るべき行動は…)
(台詞数: 50)