菊地真
……
星井美希
あ、真くん。おはようなの。知ってた?脳は足の小指を認識してないそうなの。
菊地真
あ、おはよう美希。ごめんね、昨日はレッスン休んじゃって……
星井美希
むむむむなの。真くん、ミキたちは同じ事務所の仲間なの、悩みがあるなら話してみるの!
星井美希
仕事の基本はホウ・レン・ソウなの!今から手本を見せるから見習えなの!
菊地真
ありがとう美希。ところでさっきから後ろに持ってる緑色の野菜みたいなのは何かな?
星井美希
チンゲンサイなの!
菊地真
せめてほうれん草持ってきてよ!
星井美希
まあそれはそれとして、真くん。さっきから窓の外見て何してたの?窓際族ごっこ?
菊地真
……ねえ、美希、あの一つ先の信号の前で立ってる人、見える?
星井美希
あっち向いて棒立ちしてる人?
菊地真
あ、そう。美希にも見えてるんだね。良かった。
星井美希
……あの人がどうかしたの?
菊地真
……うん、見て。信号青になってるのに全然動かないじゃない?なんか気味悪くて……
星井美希
きっと反抗期なの、道交法に対しての。
菊地真
……あの人ね、一週間前から見かけてたんだよね。最初は逆側の遠くの方の信号の前にいて居て……
菊地真
ずっとあんな風にあっち向いて止まってるんだよ。
菊地真
最初はどこか具合悪いのかと思ってさ、事務所出て行ってみたんだけど、もういなくて……
菊地真
でも事務所に戻って見たらまたそこに佇んで向こう視てるんだよ!
菊地真
で、次の日に見たらさ、一つ近い信号の前に居たんだよ!
菊地真
それから、だんだん一日ずつ近づいて来てるんだよ。この時点でもう不気味だと思わない?
星井美希
一日かけてムーンウォークしてるだけの人と考えたら合点がいくの!
菊地真
……一昨日、とうとう一番近くの信号に居て、流石に怖くなっちゃってさ……
菊地真
あの人はどこまで近づいて来るんだろうって、なんか誰にも相談できなくて……
菊地真
それで、昨日は休んじゃったんだ。ごめんね。
星井美希
なるほど、つまりミキが真くんの為に一曲威勢の良い歌を歌い景気をつければいいんだね!
星井美希
こわれそおーなーもぉのばかーりーあーつめてーしーまうぅよー!
菊地真
ちょっと静かに。で、今日は勇気を出して来てみたら、なんとあの人事務所通りすぎてたんだよ。
星井美希
あ、じゃあ結局事務所に用事があったわけじゃ無かったと言うことなの!
菊地真
うん、正直あの人が何なのかは気になるけど、そんなことはどうでもいいんだ!
菊地真
心配事が一つなくなったんだからボクはハッピーだよ!
星井美希
がーらすのーじゅーうーだーいぃぃ!
菊地真
最早歌いたいだけじゃないか。
星井美希
この事、他の人に言ったの?
菊地真
言ってないよ、誰も信じてくれなさそうだし……何よりあの人がもしボクにしか見えなかったら……
星井美希
でもミキには相談してくれたの。
菊地真
ほら、美希ってこう言うの得意そうだし、信じてくれそうな気もするし?
星井美希
でも、それならあの人昨日はどこに居たのか気になるの。
菊地真
あーあー聞こえなーい!美希、過ぎたことは忘れようよ!
菊地真
というか、考えすぎると何か気づいちゃいそうで怖いんだよ。
星井美希
こわれそおーなじゅうーだーいぃ!
菊地真
略さないで。とりあえずこの話はおしまいにしよう!
星井美希
うん、でもちょっと気になるの。不思議な事もあったもんなの!
菊地真
まあ……確かに悪い事は何も無かったし、ここもただ通りかかっただけだったしね!
星井美希
ミキ、今度会ったら挨拶でもしとくの!
菊地真
うーん、それは難しいんじゃないかな?ボクも会えなかったし……
星井美希
むー、あっち向いてるからわかんないけど、顔だけでも拝みたかったの!
菊地真
だから、ボクでも見たこと無いのに無理だって……
菊地真
…………
菊地真
…………あれ?
(台詞数: 50)