北沢志保
…燃えて…燃えてしまえば良い…なにもかも…
北沢志保
…そうよ…カナの幸福の為なら…全部…全部燃やしてやる…私自身の心だって…!
矢吹可奈
…シホ…ちゃん…なの…?
北沢志保
っ!?
如月千早
《爆音と黒煙に導かれるように辿り着いた、つい先程まで集落だった場所…》
如月千早
《無人の焼け野原と化したその場所に立っていたのは…虚ろな瞳をしたシホさんだった》
如月千早
《しかし、その瞳はカナを捉えると光を取り戻し、代わりに顔が青ざめてゆく》
北沢志保
…な…んで…?なんで…カナ達が…ここにいるの…!?
矢吹可奈
シ、シホちゃんこそ…こ、こんな所にいたら…危ないよ…?
如月千早
《カナは、シホさんに的外れな言葉をかける。恐らく、信じたく…いや、考えたくないのだろう…》
如月千早
《彼女が…この惨状を作り出した張本人だなどと》
如月千早
…シホさん…これは貴女がやったの?
如月千早
《答えを待つまでもない。彼女の全身…特に両手から溢れる炎の魔力が全てを物語っている》
矢吹可奈
チ…チハヤちゃん…?何言ってるの…?そんなわけないよ…
北沢志保
……………
矢吹可奈
ね、ねえシホちゃん…そうだよね?シホちゃんはそんな事する子じゃないよね?
北沢志保
………い………
矢吹可奈
ねえ…ねえ!違うよね!?
北沢志保
……る………い…!
如月千早
《カナの言葉に反応し、シホさんの炎の魔力が周囲に陽炎を作り出すほどに強くなる》
如月千早
カナ!それ以上は…!
矢吹可奈
…違うって…違うって言ってよぉ!!!
北沢志保
っ!!!うるさい!!!!黙れぇぇぇーーーーっっっ!!!!!!
矢吹可奈
………え………?
如月千早
《怒号と共にシホさんの右手から、カナに向かって炎の塊が撃ち出される》
北沢志保
…あっ…!?
如月千早
カナ!!
如月千早
《カナは状況を飲み込めていないのか、自分に向かってくる炎を呆然と見つめている》
如月千早
っ!アクアアロー!!
如月千早
《私は炎を止めようと、両手に水の魔力を集めてアクアアローを連射する》
如月千早
《が、あまりにも火力があり過ぎて、私程度の魔力では対消滅どころか炎を縮小すら出来ない》
北沢志保
っ!カナ!!逃げてぇぇぇーーーっ!!
如月千早
《自分の行いを把握したシホさんが悲痛な叫びを上げるが、カナには届いていない》
如月千早
《その時…カナと炎の塊の間に割り込むように、上空から炎の柱が降り注いだ》
如月千早
あれは…ジュリアさん!?
如月千早
《火柱の先を見ると、空にはジュリアさんと、翼を着けた女の子の姿があった》
如月千早
《しばらく拮抗していた2つの炎は、対消滅を起こして爆発し、カナが爆風に飛ばされる》
矢吹可奈
キャアァァッッ!!!
北沢志保
ぁ…あ…ち…違う…
如月千早
カナ!!…良かった、無事ね…!
如月千早
《私がカナに駆け寄って助け起こすと、軽い火傷と擦り傷はあるが、命に別状は無さそうだった》
北沢志保
違う…違う…!私…そんな…そんなつもり…なんで私…カナに…なんで…!
如月千早
《支離滅裂になり、後ずさるシホさんの背後に、門のような形をした炎が現れる》
矢吹可奈
…!ま、待って…待ってシホちゃん!
北沢志保
違う…違う…違う違うチガウ違ウちガウ…!!!!!!違うぅぅぅーーーーーっっっ!!!!!!!
如月千早
《叫び声を上げながらシホさんは炎の門に入り、そのまま炎は中空に消えて行った…》
矢吹可奈
シホちゃん…シホちゃぁぁぁぁぁん…!!!
如月千早
《涙を流しながら、カナはシホさんの名を呼ぶ…この場にもういない相手の名前を》
如月千早
《ジュリアさんと女の子が地面に降り立ち、近付いても、カナはその名前を呼び続けていた…》
(台詞数: 49)