北沢志保
黒幕は、たぶん私を犯人役に仕立てあげたかったんですよ。
高坂海美
ちょっと!それって!
田中琴葉
…詳しく聞かせてくれる?
北沢志保
いいですよ。まずは、この前の男の襲撃が成功したと仮定します。…どうなりますか?
田中琴葉
え…。どうって…志保ちゃんが拉致されて、その…あんなことやこんなこと…を…。
北沢志保
飛躍しすぎです!百合子さんですか!?確かにそういう馬鹿でしたけど!
高坂海美
男を再起不能にしてでも、志保りんを助け出す!!
北沢志保
とりあえず、誘拐されるところまで飛躍しないでください。
北沢志保
まあ、そういう馬鹿を実行役に選んだことが黒幕の浅はかなところの1つです。
北沢志保
襲撃が成功して私が所持品を奪われた時点で、この『黒猫の人形』が私の手元から無くなります。
北沢志保
そして、犯行現場に落ちていた同じ『黒猫の人形』…私のトレードマークと見られているそうです。
田中琴葉
その時点で疑いの目は志保ちゃんに向けられる…。
北沢志保
…実際に私の人形を使う計画にしなかったのは、受け渡しの際に実行役と接触するのを避けたから。
北沢志保
おそらくですけど、奪った荷物は処分するように、という指示もあったのでは?
田中琴葉
…当たりよ。確かにそういう指示もあったみたいね。
北沢志保
失敗したら連絡する…としたようですけど、捕まって連絡も取れない事態になると考えていない…。
北沢志保
だから、『黒猫の人形』が2つ存在するややこしい事態になっているわけです。
北沢志保
それに、一匹狼を気取っているわけではありませんが、私は1人でいることの多い人間です。
北沢志保
…自分で言うのもなんですが。
田中琴葉
…誰にも知られずに襲撃するチャンスは多いと思ったのね。
高坂海美
でも、あの日は可奈りんとず~っと一緒だったんだよね♪
北沢志保
そ!…それは可奈がなかなか離してくれなかっただけです。
北沢志保
…こほん。
北沢志保
…こほん。その分、尾行して歩く時間が長くなったことが私が気づく原因にもなりました。
田中琴葉
そして1人になったところを襲撃した…。
田中琴葉
でも、誰かさんが想定外の爆走で乱入してくるとはさすがに思わないよね♪
高坂海美
?
北沢志保
それともう1つ。私達は連絡された集合時間に駅に到着したはずなのに、誰もいなかったんです。
高坂海美
あー、あったね。そういうこと。バスにも乗り遅れちゃったっけ。
田中琴葉
…確かに、聞き込みしたところでは集合時間に遅れたことになっているわ。
北沢志保
なので、もし海美さんという同行者がいなければ、私にはアリバイの無い時間ができていたんです。
田中琴葉
そしてその間に事件が起きれば…
北沢志保
…真っ先に疑われるというわけです。
田中琴葉
わざと遅くなる時間を伝えたってこと?
北沢志保
可能性ですよ。あくまで。
北沢志保
ふふ…わざわざこんな手の込んだことをしてまで『犯人』を造り出そうとするんだから…。
高坂海美
志保りん?
北沢志保
たぶん、動機を調べたらすぐに名前が挙がるかもしれませんね。
田中琴葉
…もしかして…目星をつけているの?
北沢志保
…黒猫が不吉と言うのなら、そうしてあげようかな、と。
(台詞数: 40)