水瀬伊織
こら美希、起きなさい!レッスンの時間よ!
星井美希
むー、眠いの。あと五点。
水瀬伊織
反応しづらい間違えかたするんじゃないわよ!それを言うなら五分!いいから支度しなさい。
星井美希
でこちゃん、なんか今日は気乗りしないの。ちょっと気だるげな休日の午後なの。
水瀬伊織
事務所まで来て何言ってるのよ。あんたが来ないと私まで律子に怒られるの!
星井美希
……五月病なの。
水瀬伊織
まだエイプリルよ!
星井美希
あ、ほらミキってトレンドセッターでしょ?だからこれはブームの先取りなの。(うまい!)
水瀬伊織
……今日はなーんかいつにもまして頑なね。美希のくせに何か悩みごとでもあるのかしら?
星井美希
うん、なんか変な夢を見たの。ミキ、基本的にババロアとかおにぎりとかの夢しか見ないんだけど…
星井美希
さっき見たのはいつもと全然違う感覚で、なんというか夢なのに夢じゃないみたいだったの。
水瀬伊織
ふーん、で、どんな夢だったの?
星井美希
どこか知らないはずの学校の、真っ暗な廊下でね。ずっと歩き続けてるの。
星井美希
どんどん怖くなって、誰か来てって思ったら変な風体の律子、さんが来て、これは夢だって言うの。
星井美希
夢の中の律子が言うには、ミキが夢からさめたくないから、ずっと夢に逃げ込んでて…
水瀬伊織
でも、現に美希は夢から覚めてるじゃない。結局ただの夢だったんでしょ?
星井美希
夢から覚めるときに律子が言ったの「また逃げるのね、いつ夢から覚めるの?」って……
星井美希
でこちゃん、ミキが現実だと思ってたのは全部夢だったのかな?ほんとはアイドルじゃなくて……
水瀬伊織
でこちゃん言うな!あんた、そんなくだらないことで悩んでたの?聞いて損したわよ!
水瀬伊織
夢だったら頑張らなくても良いって本気で思ってるわけ?だったら一人でレッスン行ってくるから。
星井美希
ペコちゃん……
水瀬伊織
誰がテイストオブマザーよ!せめてでこちゃんと呼びなさい!
星井美希
だってミキ、頑張らなくても大体の事が出来ちゃうの。きっとミキの夢だからなの。
水瀬伊織
そんなことは事務所で休む暇が無いくらい忙しくなってから言いなさいよ!
星井美希
ミキ、よくわかんなくなってきたの。どうすれば良いと思う?
水瀬伊織
……やめれば?
星井美希
………………どういうことなの?
水瀬伊織
此処には本気でトップアイドルになりたくて頑張ってる子が沢山いるわ!
水瀬伊織
美希みたいな才能が自分に全く無いって知りながら、それでも夢を目指して努力してる奴だって!
水瀬伊織
そんな場所に、そんな夢を信じて皆の夢を信じられない人が居たら迷惑よ!
星井美希
……でこちゃんには、ちゃんと才能あるって思うな。
水瀬伊織
……私の話じゃ……ないわよ。
星井美希
でこちゃんの言ってることはわかったの。ミキの現実が夢でも頑張らなくちゃいけないって……
星井美希
……でも、ちょっと今日は考えられないの。考えすぎてなんか頭おかしくなりそうなの。
水瀬伊織
……そう、じゃあ本当に一人で行くから。じゃあね。
星井美希
うん……
星井美希
…………………………………………………よし。
星井美希
今日はなかなか上手く撒くことが出来たの!さっき見た夢を休む口実にする手腕!見事なの!
星井美希
いや、でもミキの演技が巧みすぎてでこちゃんがガチになりかけたのは怖かったの。
星井美希
…………でこちゃん、ミキのこと。皆の夢って言ってくれたの。そんな風に思ってくれてたんだ……
星井美希
まあ、だからといってすぐさま心を入れ換えたりはしないの、人生そんな甘くないの!
星井美希
さらに言うとこの場合でこちゃんには監督者責任があるの!ミキが休むのはでこちゃんの責任!
星井美希
上手くまとまったところで勝利の歌でも歌うの!聞いてください!一人ケチャ!
水瀬伊織
いやケチャをどうやって一人で歌うのよ!
星井美希
ひ、ひたいちゃん!なんでまだ行ってないの?
水瀬伊織
せめてでこちゃんと呼びなさい!ホントにあんた置いて一人で行くわけないでしょ?
星井美希
あーもうわかったの!でこちゃんのその熱い情熱に負けたの!一緒に行ってやるの!
水瀬伊織
……本当にもう大丈夫なの?って何?いきなり抱きついて来ないでよ!
星井美希
……あと五分、このままでいてほしいの。星井だけに。
水瀬伊織
…………ふん。
(台詞数: 50)