星井美希
あー、なんか最近つまんないというか人生に張り合いが無いというか虚空を体現した心情なの。
星井美希
毎日起きて学校行って寝て起きて帰ったり事務所行って寝てレッスンして寝てお仕事して寝て…
星井美希
そんなんじゃ家路につくこの足取りも重くなるってもんなの。
星井美希
なーんて言ってたら何故か山道で迷ったの!全く知らない道で困惑してるの!
星井美希
来た道を戻ろうにも妙に暗くてそんな気になれないの。一方全面には明かりが見え少し安堵なの。
星井美希
さっきまでの飄々とした語りはミキなりの虚勢なの!いぇあ!
星井美希
言ってる間に明かりの元に到着なの。等間隔の明かりが何とも言えない安心感を醸し出してるの。
星井美希
でも誰もいないの。逆に不気味なの。流石のミキもちょっぴり焦りを隠せず…こんなときは!
星井美希
底抜けに明るい歌を歌い士気を高めるの!どなどなどーなーどーなー!子牛をふんふんふーん!
萩原雪歩
うろ覚えなら違う曲にすれば良いのに。
星井美希
おー雪歩、こんなところで逢うとは運命なの!てか早く声かけてくれればよかったのに!
萩原雪歩
ごめんね、目が悪いから探すのに時間かかっちゃった。
萩原雪歩
でも、今度からこういう所で歌わない方がいいよ。私だったから良かったけど、誰かに見つかったら
星井美希
あわわわなの、確かに怖い人に遭いたくないの、うっかりミキべぇだったの!
星井美希
それにしても雪歩が持ってるそのお洒落提灯みたいなの、かっこいいの。安心感のある光なの。
萩原雪歩
うふふ、ありがとう。とっても気に入ってるんだ。こんな風に月の出ない暗い夜だけ……
萩原雪歩
そんな夜だけ、私みたいなのでも主役になれるんだ。さ、帰り道はこっちだよ。
星井美希
おお、渡りに舟!迷いに雪歩なの!正直困ってたから大助かりってかんじ!
萩原雪歩
うん、こうやって光を揺らしながら歩くの…落ち着くね。
星井美希
あー何だか変な胸騒ぎというか違和感があるので、払拭すべく楽しい話するの!
星井美希
ゲーム機のコントローラーや家具などの上部左右両端にリボンを着けるとあら不思議!
星井美希
一瞬で春香みたいになるの!この前千早さんの部屋のあらゆる物を春香にして喜ばせてあげたの!
星井美希
でも想像以上に春香チックになって……数多の春香に囲まれてる気分になって怖かったの。
星井美希
って!結局怖い話しちゃったの!
星井美希
って……全然話に入って来ないけど雪歩、具合悪い?
萩原雪歩
ううん、そんなことないよ、こうやって貴女と歩けている……私は嬉しいよ。
星井美希
ほー。なら良かったの。何だか今の雪歩いつもより儚げだから心配しちゃ……
星井美希
(むむ、なんか今の雪歩の台詞……違和感があったような……まあ、そんなときもあるさなの)
星井美希
そーいえば、雪歩は何でこんなところにいたの?
萩原雪歩
こうやって照らされてるのが好きだからかな。
星井美希
全く要領を得ない返事は雪歩そのものなの!実に雪歩らし……………………!!!
萩原雪歩
……?どうしたの?何かあった?
星井美希
いーや全く何でもないことこの上無いの!
星井美希
(今、スマホに雪歩からメールが来たんだけど……何でなの?雪歩は目の前に居るのに)
星井美希
(雪歩が悪戯でハンズフリーメール送信を…なわけないか、じゃあ今隣にいるのは……)
星井美希
へい雪歩、ミキ今すっげー大切な用事を思い出したから今日はこの辺で帰るねーばいちゃ!
萩原雪歩
待って、行かないで。
星井美希
……雪歩、手を離してほしいの星井だけに。雪歩の手、尋常じゃなく冷たいの。
萩原雪歩
帰りたくないって言ってたよね。この明かりが好きって言ってくれたよね。二人でこのままどこまで
星井美希
どうどう!落ち着くの…あ、ここでタイミングよく電話かかって来たの、失礼しますなの。
萩原雪歩
……!その電話、でないで。
星井美希
知ったことかなの!もしもし!え、何?ラーメン三つ?この状況で間違い電話なんかすんななの!
星井美希
ごめん雪歩もどき、電話終わった……てあれ?手は離してくれるの?
萩原雪歩
……もう雲が去って月が出ちゃった。月は明るすぎて、全ての明かりは霞んでゆく……居場所はなく
星井美希
なんかワケわかんないけど帰って良いなら帰るの、って!よく見たらここ知ってる道だったの!
星井美希
じゃ、ばいちゃ!それにしても間違い電話野郎ムカつくの!リダイヤルで文句言ってやるの!
星井美希
ってさっきの電話番号貴音だったの!こんな時間に友人にラーメンパシる奴もそれはそれでなの!
萩原雪歩
……少女は去り、私はまた悲しくもといた場所へと帰って行く。月は未だ照り私の存在を許さない。
萩原雪歩
残されたのはこの昏く明るい道とそこに置かれた一つの。
萩原雪歩
―――――――牡丹灯籠――――――――
(台詞数: 50)