矢吹可奈
《…昔、フウカさんが倒したと言う、凶暴な肉食魔獣の亡骸を見せてもらった事がある》
矢吹可奈
《獲物に突き刺す事も、切り裂く事も容易そうなその鋭い爪に、子供心に恐ろしさを感じた》
矢吹可奈
《そして今…マコトさんが変異させた右腕は、それとは比較にならない大きさと鋭さだった》
菊地真
あいにくと生きたまま魂を抽出するなんて芸当は出来なくてね…悪く思わないでくれ
馬場このみ
まぁ、良いんじゃない?私に着いてきた時点で、ある種の覚悟くらいしてたでしょ?
矢吹可奈
《確かに、あの時はその覚悟もあった…でも、ユーリさんと話して、たくさん泣いて…》
矢吹可奈
《心が落ち着きを取り戻すと…そんな覚悟は消えてしまって、代わりに違う願いが大きくなった》
矢吹可奈
《生きたい》
矢吹可奈
《生きて、もっと色んな物を見て、もっともっと色んな人達に会って…》
矢吹可奈
《もっともっともっと…皆と一緒にいたい…!》
矢吹可奈
《このままシホちゃんやチハヤちゃんに会わないまま死んじゃうなんて嫌だ…》
矢吹可奈
《私のせいで、皆が暮らすこの世界が、誰かの好きに作り替えられちゃうのも嫌だ…!》
矢吹可奈
(でも…私に倒せる…?マコトさんとコノミさんを…………ううん、そんなの無理…)
矢吹可奈
《私に出来る事なんて、指先を光らせるだけの光魔法と、身体を強化する強化魔法だけ》
矢吹可奈
《とてもこの2人と戦って、どうにかなんて出来ない…それなら…それなら…》
菊地真
…さあ…この世に別れは済んだかい、カナ?そろそろ殺らせてよらうよ
菊地真
恐怖と苦痛に満ちた君の断末魔を…新世界創世の産声としよう!さらばだ!!!
矢吹可奈
っ!えぇぇーーーーいっ!!!
菊地真
なっ!?ぐっ…!!
馬場このみ
な、何…!?目が…!
矢吹可奈
《私はありったけの魔力を指先の一点に集中し、マコトさんが振りかぶった瞬間に光を放つ》
矢吹可奈
《それが通用したかを確認する間も無く、脚に強化魔法をかけて瞬発力を引き上げると》
矢吹可奈
《迷い無くマコトさんに向かって全身でぶつかって行った》
菊地真
がっ!?
馬場このみ
きゃあっ!?
矢吹可奈
《ガタンと言う、マコトさん達が倒れる音だけを聞き、そのままの勢いで走り出す》
矢吹可奈
《戦って勝てないなら…逃げる!逃げ切れるかなんてわからないけど…今はそれに全力を出す!》
矢吹可奈
《たぶん、マコトさんが警戒しながら私を殺そうとしていたら、通用しなかった手だ》
矢吹可奈
《圧倒的弱者を前にした絶対的強者だからこそ生まれた、余裕、油断、慢心》
矢吹可奈
《その僅かな一瞬を突く事が出来なければ、私の命もそこで終わっていただろう》
矢吹可奈
…とにかく今は…走らないと!どこかに隠れて、魔力が回復したらまた走って…!逃げなきゃ…!
矢吹可奈
《スピードをコントロール出来ず壁に激突したり、階段を踏み外したりするけど》
矢吹可奈
《私はそんな傷や怪我に構わずにひたすら走り続ける。だって…生きたいから…!》
菊地真
………くく…ははははは…!なるほどなるほど…どうやら、甘く見過ぎていた、か
馬場このみ
いったたた…まさかあんな手で逃げられるとはね…どうする?
菊地真
恐らくあれは強化魔法だろう。だが、彼女の内包魔力からして、長くは保たない
菊地真
そうだなぁ…順調に行っても、中庭辺りで魔力切れだろうね
馬場このみ
わかった、その辺を中心に兵を配置して確保するわ
菊地真
…ま、仮にこのまま逃げられても、大した問題じゃないけどね
菊地真
元々、歌守の民の全滅を前提に計画を進め、その代替品として魂を集めていたんだ
菊地真
長年収集を続けた甲斐もあって、目標まで残り僅か…たまたまカナが手に入りはしたが…
菊地真
ここから元の計画に戻しても、さほどの苦労は無いだろう
馬場このみ
それはそうだけど、やっぱり目の前に鍵があるんだもの…それを使いたいわ
菊地真
ふふ…それもまた道理だね
菊地真
…それにしても、普通ならこんな状況…絶望感でろくに動けなさそうなものだが…
菊地真
まったく…本当に甘く見ていたよ、カナ…しぶとく生き足掻こうとする人間とは読めないものだ…
(台詞数: 46)