北沢志保
まだ生きてますよね?高梁さんの“元”マネージャー、佐原さん?
黒井社長
佐原「…殺すつもりだったのか?こちらはちょっと脅してやろうと思っただけなんだがな…。」
田中琴葉
背後から包丁振りかぶっておいて何を…!
黒井社長
佐原「…事実は事実だ。その娘が犯人だと思った俺は、脅してでも口を割らせようと思ったんだ。」
北沢志保
…まるで自分が犯人ではないかのような言い方ですね。
黒井社長
佐原「当然だろう。俺には彼女が殺された時間は笹木さんと一緒だったというアリバイがある。」
北沢志保
…正確には“そう思われている時間”ですけどね。
北沢志保
実際には、死亡推定時間の後半ではなく前半で殺害されていたとしたら?
田中琴葉
え?でも、映像記録が残って…。
北沢志保
…まあ、実際の映像を観てみましょう。
田中琴葉
~一時間後~
田中琴葉
何も…おかしなところはない…よね…?
黒井社長
佐原「はは!当然だろう!」
北沢志保
ええ。おかしなところは無いでしょうね。
北沢志保
ええ。おかしなところは無いでしょうね。…あり得ないことに。
田中琴葉
…どういうこと?
北沢志保
琴葉さん。聞き込みで雷による一時的な停電の話は聞きましたか?その時間は?
田中琴葉
時間って…あ!?
北沢志保
そう。ちょうど死亡推定時刻の前半、この映像が記録されている時に起きているはずなんです。
北沢志保
しかし、この映像には停電による照明の暗転すら記録されていません。
北沢志保
最悪、録画が途切れていたかもしれないというのに…ね。
北沢志保
つまり…この映像は本来の時間通りには撮られていないんですよ。
北沢志保
…当然、笹木さんにもアリバイは無くなってしまいますが…。
北沢志保
私達が広めた連続殺人説に乗って襲撃をかけてきた時点で、あなたの負けです。
黒井社長
佐原「お前…!」
北沢志保
あなたなら、事前の犯行予告を偽造するのも簡単でしょうから。乗ってくると思いました。
黒井社長
佐原「俺の負けだと!?あの馬鹿が失敗しなければ!停電など起こらなければ!こんな結果には!」
北沢志保
…もしかして、気づいていないんですか?
北沢志保
あなたへの疑いを呼び込んだのはあなた自身だということに。
黒井社長
佐原「…何だと?」
北沢志保
あなたは劇場に到着した時、開口一番「高梁さんに何かあったのか?!」と尋ねました。
北沢志保
…どうして「高梁さん」とわかったんですか?
北沢志保
そらさんの悲鳴は「劇場で人が!」…としか言っていなかったのに。
北沢志保
あなたは知っていたんです。劇場で倒れているのが高梁さんだと。…あなたが犯人だから。
北沢志保
ついでに言うと、黒猫の人形を指摘するのが早すぎです。…あなたが置いたと言ってるみたいに。
北沢志保
犯人が絞れれば、あとはどう突き崩すか…それだけですから。
黒井社長
佐原「…止めろ…。」
北沢志保
つまりはあなたの書いたシナリオで1番のミスキャストはあなた自身なんですよ。
黒井社長
佐原「お、おおおお……(茫然自失)」
田中琴葉
プライドの崩壊音が聞こえてきそう…。
北沢志保
自業自得です。…あとはお願いします。
黒井社長
佐原「…(まだ茫然自失)」
北沢志保
…
北沢志保
…あなたに黒猫が運んできたのはやはり不幸でしたね。
北沢志保
…あなたに黒猫が運んできたのはやはり不幸でしたね。それとも私かしら。
北沢志保
…なら、あなたにとっての黒猫は私なのかもしれませんね。
(台詞数: 46)