北沢志保
…ぅぅ…カナ…カナぁ…
如月千早
《動かなくなったカナにすがり付いて泣き崩れるシホさんに、私はかけるべき言葉が無かった》
如月千早
《私自身、いまだに目の前の現実を受け入れられない…あのカナが命を落としただなんて》
如月千早
…!?
如月千早
《その時、私は自分の身体に妙な違和感を感じ取る。自分でない何かが入り込んだような…》
如月千早
………カナ…?
如月千早
《閉じていた目を、その違和感に驚いて開いたちょうどその時、目の前のカナの指が動いた》
如月千早
…!?シ、シホさん!カナが…!
北沢志保
え…!?
矢吹可奈
………ゲホッ…!けほっけほっ!……ぅ………シホちゃん…?…チハヤちゃん…?
北沢志保
…!!!
如月千早
《うっすらと瞼を開いたカナは、ぼーっとしたままシホさんと私に視線を巡らせる》
北沢志保
カ…カナぁ…!!
矢吹可奈
むぎゅっ!シ、シホちゃん苦しい…!
如月千早
カナっ!!
矢吹可奈
むぎゅうっ!!チ、チハヤちゃんまで…!
如月千早
《感極まってカナを抱き締めたシホさんに負けじと、私も2人を包み込むように抱き締める》
矢吹可奈
…えへへ…苦しい…苦しいけど………帰って…来れたんだ…!
如月千早
《ようやく私達から解放されたカナの話す所によると、魂の状態で闇の巫女様に会い…》
如月千早
《世界を救ったお礼として、転生させてもらったのだと言う》
如月千早
《確かに服こそ破れてはいるものの、そこから覗く肌には、あるはずの傷がまったく無い》
北沢志保
…良かった…カナがちゃんと戻って来てくれて…
矢吹可奈
…ごめんねシホちゃん…そんなに目が赤くなるまで泣かせちゃって…
北沢志保
っ!ほ、本当よ!一生分くらいは泣いちゃったじゃない…!………
北沢志保
…おかえりなさい、カナ
如月千早
おかえりなさい
矢吹可奈
…うん!ただいま、シホちゃん!チハヤちゃん!
如月千早
《今度はカナの方から私とシホさんを抱き締める》
北沢志保
…さあ、帰りましょう。…私達のいるべき所に
矢吹可奈
うん、そうだね……………?
如月千早
《いざ歩き出そうとしたその時、カナが足を止めてぼーっと立ち尽くす》
矢吹可奈
(………わかりました)
矢吹可奈
えっと…シホちゃん、チハヤちゃん…今から少しだけ…私じゃなくなるから、驚かないでね?
如月千早
私じゃなくなる…?
如月千早
《そう言ってカナが目を閉じると、纏う雰囲気ががらりと変わる》
矢吹可奈
カナ?「…はじめまして、チハヤ、そしてシホ…」
如月千早
《普段の明るい声とは違う、落ち着き払ったその声は、確かに別人のようだった》
矢吹可奈
カナ?「私は闇の巫女…少しだけカナの身体を貸してもらう約束だったの」
矢吹可奈
闇の巫女「…チハヤ、カナと共にマコトに囚われていた魂を解放してくれてありがとう」
矢吹可奈
闇の巫女「そのお礼と言ってはなんだけど…身体に何か違和感は無い?」
如月千早
え?…ええ…ありますけど…これはいったい…?
矢吹可奈
闇の巫女「今、貴女の身体には、カナの歌守の民としての魂…その半分が入っているわ」
如月千早
…!?そ、それって…!
矢吹可奈
闇の巫女「そう、今、貴女は擬似的に歌守の民となっている状態なのよ」
矢吹可奈
闇の巫女「当然、歌守の民の結界も張っているから…バンシィボイスからも魔力が失われる」
如月千早
…じゃあ…もしかして…!
矢吹可奈
闇の巫女「そうよ。もう貴女は、歌声で誰かを傷付ける事は無くなるわ」
矢吹可奈
闇の巫女「…これからは、人々に安らぎを与える歌を届けてあげて」
如月千早
…はい…!ありがとうございます!
矢吹可奈
闇の巫女「ふふ…。さて、チハヤには伝えたし…残る用件はあと1つ…彼女ね…」
(台詞数: 50)