周防桃子
もう送迎の時間だから、このみさんと莉緒さんを呼んできてくれって言われたけど。
周防桃子
たまたま桃子が居残っていたからって、なんで雑用に使われなくちゃいけないのよ!
周防桃子
まったく。お兄ちゃんには、後で立場ってものをきっちり教えてあげないとね。
周防桃子
・・・それにしても、二人とも、どこにいるのかな?
周防桃子
あと探してないのは、普段使ってないこの部屋くらいだけど・・・。あ、いた。
百瀬莉緒
あれ、桃子じゃない。
周防桃子
莉緒さん!このみさんもいるね。
周防桃子
このみさん、お酒飲んで寝てるの・・・って何、この臭い!?
周防桃子
くさい!お酒の臭いに何か混じってて、酷い臭い!
百瀬莉緒
ああ、この臭い?それはね、この筋肉痛用の塗り薬のせいね。
周防桃子
筋肉痛?
百瀬莉緒
このみ姉さん、重い楽器を持ったまま、あっちこっち世話を焼いて回っていたからね。
百瀬莉緒
演奏会が終わったら、筋肉痛が一気に出たから、体中に塗りたくったていうわけ。
百瀬莉緒
で、疲れてるのに、痛みを紛らわせるためにって、お酒を飲んだから、潰れちゃった。
周防桃子
そういえば、桃子のところにも、チューバを持ってきてたけど。
周防桃子
こんなふうになるくらいなら、置いてこれば良かったのに。
百瀬莉緒
まあ、それは、このみ姉さん流の気遣いってやつよ。
百瀬莉緒
楽器を放り出して駆けつけたら、相手の方が逆に気を遣うじゃない?
百瀬莉緒
楽器があれば、音合わせするとか言って、自然にアドバイスできる機会を作れるってわけ。
周防桃子
でも、自分の練習だってあったはずでしょ?
百瀬莉緒
あら。このみ姉さんは、毎日遅くまで事務所に残って練習してたわよ。
百瀬莉緒
自分の事もしっかりできないのに、他人に口出しするような無責任な人じゃないしね。
馬場このみ
・・・ちょっと莉緒ちゃん。喋り過ぎよ。
周防桃子
このみさん、起きてたの?
馬場このみ
少し眠ったから酔いが覚めたみたい。体はまだ動かしたくないけどね。
周防桃子
・・・ねえ、このみさん。一つ聞いていいかな?
馬場このみ
ん?何かしら?
周防桃子
どうしてこのみさんは、そんなになってまで他人のために尽くしてるの?
馬場このみ
・・・そうね。一言で言うなら性分なんだけど。
馬場このみ
大人の女性なら間違いなくそうするだろうと思ってね。
周防桃子
大人の女性?
馬場このみ
そう。優しくて、弱音は吐かなくて、気遣いができて。困っている人は放っておけなくて。
馬場このみ
常に最高の自分を見せていられるような女性よ。私の理想の女性の形ってやつかしらね。
馬場このみ
もっとも、そうあり続けようとするのは苦労するけどね。たまにボロも出すし。
周防桃子
・・・桃子には、大人の話なんてあまりよくわからないけど。
周防桃子
このみさんは、凄く、立派だと思う、よ。多分。
馬場このみ
ふふ、ありがとう。こんな姿見られてるから、格好はつかないけど。
百瀬莉緒
そういえば桃子。どうして私たちを探してたのよ?
周防桃子
あ、うん。お兄ちゃんに、送迎するから二人を呼んできてって言われたから。
馬場このみ
あれ?私たち、送迎組じゃないわよ?
百瀬莉緒
・・・なるほどね。プロデューサーくんも意外によく見てるのね。
百瀬莉緒
桃子。プロデューサーくんに、今から支度するから、もう少し待つように言ってもらえる?
周防桃子
うん、わかった!
馬場このみ
・・・もう。莉緒ちゃん、持ち上げ過ぎよ。
百瀬莉緒
たまにはいいじゃない。私が尊敬するこのみ姉さんを自慢したかったのよ。
百瀬莉緒
・・・さて、このみ姉さん。シャワーを浴びて薬の臭いを落としましょうか。
百瀬莉緒
早くしないと、プロデューサーくんが、しびれを切らしてやってくるかもしれないわよ?
百瀬莉緒
男の人にみっともない姿を見せないのも、大人の女性のたしなみでしょう。
馬場このみ
そうよね・・・。ところで莉緒ちゃん、ちょっと起き上がるのを手伝ってくれない?
百瀬莉緒
はいはい。お手伝いしますよ。・・・お疲れ様ね、このみ姉さん。
(台詞数: 50)