朝を倒せ!
脚本家
親衛隊
投稿日時
2019-01-11 20:34:39

脚本家コメント
pixivの自作から引っ張ってきました。こういうのはドラマシアター向けかなーって。

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中谷育
「──でね、思ったの」
周防桃子
「……ごめん、なんだっけ?」
中谷育
「聞いてなかったの? 朝だよ!」
周防桃子
「朝? 今はお昼だよ?」
中谷育
「そうじゃなくてっ、朝を倒すんだよ!」
周防桃子
「……」
周防桃子
沈黙。そして逡巡。
周防桃子
これはゲームの話か、はたまたアニメの話か。
周防桃子
でも、桃子の知る限りでは「朝を倒す」なんて聞いたことがない。
周防桃子
となると──
周防桃子
「この前読んでたマンガのお話?」
中谷育
「むー、ちがうよ!」
周防桃子
違った。
中谷育
「あ、でもヒントはそこからだよ」
周防桃子
微妙に合ってた。
周防桃子
「……まず、なんで朝を倒すの?」」
中谷育
「眠いから」
周防桃子
育は人差し指をピンと立て、自慢げに言い放った。
中谷育
「そして、眠いとコウリツが悪くなるから」
周防桃子
「効率? 何の?」
中谷育
「プロデューサーさんの」
周防桃子
「ああ……」
周防桃子
何となく合点がいった。
中谷育
「プロデューサーさん、朝はいつも調子悪そうでかわいそう……」
中谷育
「けど、お仕事の始まる時間は変えられないって言うし」
中谷育
「だから、わたしが朝を倒して、いっぱい、いーっぱい寝てもらうんだっ」
周防桃子
「育、あのね……」
周防桃子
むん、と張り切る育に水を差すことにした。
周防桃子
「まず、朝お兄ちゃんが死にそうなのは睡眠不足より、どちらかと言えば低血圧の方だから」
中谷育
「低血圧」
周防桃子
「ココアでも淹れてあげたら?」
中谷育
「ココア……」
周防桃子
「うん。お兄ちゃんも、朝から可愛いアイドルと一緒にココア飲めて幸せだと思うな」
中谷育
「いいかも! 早速明日からやってみるね!」
周防桃子
「うんうん。じゃあ、これで万事解決だね」
中谷育
「でも、朝は倒すよ」
周防桃子
「なんでそこまで」
中谷育
「杏奈さんや百合子さんも、お兄ちゃんと同じように──」
周防桃子
「あの二人は自業自得でしょ」
中谷育
「でも、コウリツは悪いよね」
周防桃子
「まあ、結果的にはそうだけど……」
中谷育
「朝の時間が夜だったら、みんないっぱいお休みできるよね?」
周防桃子
「う、うん」
中谷育
「実は、わたしも朝はもっと寝てたいと思ってたの!」
周防桃子
「あ、本音」
中谷育
「じゃあ明日、朝を倒しに行こうね!」
周防桃子
「……でも、育?」
中谷育
「なぁに、桃子ちゃん?」
周防桃子
「朝を倒すには、朝早く起きなきゃいけないんじゃない?」
中谷育
「……」
中谷育
「えっと、それは……そうだけど……?」
周防桃子
「じゃあ朝の五時とかに集合する? 桃子はプラス二時間くらい寝てた方がお得に見えるけど?」
中谷育
「……」
中谷育
「…………」
中谷育
「そうだよね!」

(台詞数: 55)