北沢志保
なんだ、静香しかいないの。
最上静香
第一声から失礼ね。どうしたの。
北沢志保
今度の仕事、ちょっと大変そうだから先輩にアドバイスもらおうと思って。
最上静香
ああ、私今空いてるわよ?
北沢志保
……
北沢志保
今度の仕事、ちょっと大変そうだから先輩にアドバイスもらおうと思って。
最上静香
何よ。私だって出展によってはちょっと先輩じゃない。
北沢志保
でも結構大きな舞台でのライブだから静香にその経験があるかどうか。
最上静香
いいから。いったいどこでのライブなの。
北沢志保
……
北沢志保
火星。
最上静香
……。
最上静香
え、なんで嘘つくの。
北沢志保
あ、火星ドーム知らないってことは静香は経験が無いのね。他をあたるわ。
最上静香
……
最上静香
ああ! 火星って火星ドームだったの。去年の末にワンマンやったとこだわ。
北沢志保
え、ほんとにあったの。
最上静香
なにが? 冗談のつもりだったの?
北沢志保
え? ほんとに火ドでのライブ経験が静香にあるのか疑問に思っただけだけど。
最上静香
あるある。あれよね、あの駅前の。
北沢志保
え、駅?
最上静香
え、知らないの?
北沢志保
え、誰が? 私が? 知ってるわよ。私いつもJR使ってるから。
北沢志保
駅から遠いという感覚が無かっただけ。
最上静香
ああなるほど私いつもメトロで言ってるから。
最上静香
あれよね。ドーム前に銅像みたいなの飾ってるわよね。
北沢志保
あああれよね。火星人のモニュメントみたいな。
最上静香
火星人のモニュメント?
北沢志保
え、知らないの?
最上静香
知ってる。タコみたいなやつでしょ。
北沢志保
そんな古典的な。
最上静香
知らないの?
北沢志保
知ってる。真っ赤なやつ。
最上静香
もうそれタコじゃない。
北沢志保
知らないの?
最上静香
知ってる。光線銃持ってるわよね。
北沢志保
そうそう。たくさん持ってるから壮観よね。
最上静香
そうそ……
最上静香
そうそ……もしかして全ての触手に光線銃持ってるの。あ、勿論知ってたけど。
北沢志保
……静香。ホントにしたの? 火星で。
最上静香
え、何で疑うの? もしかしてさっき火星でやるっていうのが嘘なの?
最上静香
あ、ちなみにプロデューサーに訊けばわかるわよ私は。
北沢志保
え、ああ私も本当だしプロデューサーさんに訊けばわかると思うと言おうと思ってたけど。
最上静香
ふーん、じゃ。
北沢志保
ちょっと待って。そんなに急いでどこに行くの。
最上静香
え、ああちょっと光線銃を摘みに。
北沢志保
そんなこと言ってプロデューサーさんと口裏を合わせようとしてない?
最上静香
え? 何それ意味わかんない怖い怖い怖い。私全くそんなつもりなかったのに……
最上静香
てことはもしかして志保がそうしようと思ってたってことじゃないの?
北沢志保
え? 何それ意味わかんない怖い怖い怖い。そんなこと思いつきもしなかったわ。
北沢志保
なるほどそんな方法があったのね。よく思いつくわね。
最上静香
ちょっと、さっきからスマホスイスイ何してるのよ! もしかしてプロデューサーに……
北沢志保
え、いや普通に仕事の連絡してただけだけど。なんか呼ばれてるみたいだから行ってくるわ。
最上静香
あ、ちょっと待って私も行く。ちょうど私も呼ばれてたから。
北沢志保
……
最上静香
……
最上静香
【こうして、私と志保のユニットの火星ドームこけら落とし公演が決定した】
(台詞数: 57)